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睡眠障害(不眠症)とは
睡眠のメカニズム
睡眠障害(不眠)が及ぼす身体への影響
睡眠障害(不眠症)の種類
睡眠障害(不眠症)の原因
おくすりについて
睡眠薬のやめ方
FAQ


すべてのほ乳類は、生命を維持していくために睡眠をとっています。この『睡眠』が上手にとれなくなるのが『睡眠障害』です。

睡眠障害にはいろいろな種類があります
★眠れない、眠っても疲れが取れない、という、一般的に「不眠症」と呼ばれるもの
★過度な眠気が問題となるもの・・・・・・・過眠症・睡眠時無呼吸症候群・ナルコレプシーなど
★睡眠のリズムに異常が現れるもの・・・・睡眠相後退症候群・睡眠相前進症候群など
★睡眠中に異常行動が現れるもの・・・・・睡眠行動障害・睡眠時遊行症・夜驚症・夜尿症など
これら全てを総称して『睡眠障害』と呼びます

健康のために必要な最低限の睡眠時間は、およそ5時間くらいと言われています。7時間睡眠が生活習慣病の発生率が一番少ないという報告もあります。一口に5時間、7時間といいますが、睡眠中は浅い眠り(レム睡眠)深い眠り(ノンレム睡眠)の繰り返しが90分ごとにあり、そのリズムや質も個人によって微妙に違います。よって、睡眠時間が少ないことだけが不眠症、というわけでありません。充分に眠る時間はあったはずなのに、きちんと眠れていない・眠った気がしないと思える状態も不眠症といえます。

では、我々人間はどのように「睡眠」を生み出しているのでしょうか。
地球上の生物は、太陽の光を受けながら進化してきました。外の環境は太陽の影響によって周期的に変化します。その変化に合わせて活動し、休息するように、われわれ生物の中には『生物時計』が備わっています。生物時計は別名『サーガディアンリズム』とも呼ばれています。
この『生物時計』、実は25時間の周期で活動と休息のリズム信号を出し、体内リズムを作っていることが明らかにされています。つまり1日が24時間で生活している我々とは、約1時間のズレがあるということです。

この『ズレ』を調節するのが、太陽の光です。私達は朝起きて太陽の光(朝日)を浴びることにより、私達の生物時計は約1時間のズレをリセットしています。昼夜逆転の生活を送り、太陽光を浴びずいると、食欲が落ちたり、頭がボーッとしたり、気力が低下してきたり…そんな経験はありませんか? 自分自身の身体に備わっている『生物時計』と間逆の生活をしているわけですから、そうなることも当たり前なのです。
さて、この生物時計、朝日できちんとリセットされると、脳に覚醒信号を送ります。覚醒信号を受信した脳は、『コルチゾール』という覚醒ホルモンを分泌し、それが血液中に流れ出してからだ全身に朝を伝えます。そして、起床して活動を開始した後15時間程度経過すると、太陽が沈み暗くなったことをきっかけに『メラトニン』という睡眠ホルモンを増加させるよう、再び脳に指令を送ります。信号を受信した脳は、今度はメラトニンを分泌し、それが血液中に流れ出してからだ全身に夜を伝えます。
つまり、この『メラトニン』こそが、生物に睡眠をもたらす『眠気の元』なのです。メラトニン以外にも体内にはさまざまな睡眠物質が作られており、それらをまとめて『睡眠ホルモン』とも呼びます。

 

生物時計リセット法

1: 毎日同じ時間に起床しましょう
2: 充分に朝日を浴びましょう
3: 起床後、2時間以内に朝食をとりましょう
4: 夜10時以降の暴食は禁止です
5: 朝の二度寝は止めましょう
6: 午後5時頃、30分程度の運動が有効です
7: 休日の寝ダメは止めましょう
8: 昼寝は20〜30分程度。1時間以上は止めましょう
9: 高齢者では午後1〜3時に30分程度の短い昼寝が有効です

 

仕事の都合などで朝日を浴びられない方に朗報!

生体リズムに照明器具を応用した商品も発売されています。
フィリップス社から発売されている『ブライトライト』は、朝日以上の10000ルクスの光を放ち、生体リズムをリセットさせます。


ではなぜ、このような生物時計があり、人は規則正しい睡眠をとらなければならないのでしょうか。人が眠る理由、それは大脳の存在にあります。人類の大脳は、ほかに類を見ないほど高度な機能を営んでいます。この機能を高度に保つために、大脳を休息・修理・点検する作業が『睡眠』なのです。よって『不眠』状態になると、当然大脳は休息できません。そこでさまざまな体調の不調が出てきます。

最近の研究では、睡眠障害が身体に及ぼす影響が具体的に明らかになってきました。

からだ
こころ
・集中力の低下
・注意力維持の困難
・記憶力や学習能力の低下
              など

・免疫力の低下
・生活習慣病の増加
・循環器系機能の低下
・身体回復機能の低下
・疲労症状の増加   など

・感情コントロール力の低下
・意欲の低下
・創造性の低下
               など

基本的に睡眠は貯蓄することが出来ません。つまり「寝だめ」は出来ないのです。休みの日に、睡眠不足解消!! とばかりに眠っていると、かえって身体はだるくなってしまうものです。

睡眠負債を抱え込まないように、毎日の規則的な睡眠の確保が必要です。

入眠障害 寝つきが悪い
中途覚醒 寝ついても何度も目が覚めて熟睡できない
早朝覚醒 夜明け前に目が覚めて、その後眠れない
熟眠障害 眠りが浅い・寝た気がしない

また、俗に言う『昼夜逆転』のような状態(睡眠相後退症候群)や、反対に高齢者に多い『過度な早寝早起き』のような状態(睡眠相前進症候群)、更に、周期的な不眠や覚醒困難が起こる状態(非24時間睡眠覚醒症候群)、夜驚症、睡眠時遊行症(俗に言う夢遊病)なども、睡眠障害に含まれます。
睡眠中の大きないびきや日中の過度な眠気などが症状の場合には「睡眠時無呼吸症候群」が疑われます。


家庭・学校・職場などの心理的なストレス
生活リズムの乱れ
引越し・転職・結婚・出産・海外旅行などの睡眠環境の変化
性周期によるホルモンバランスの乱れ
身体疾患による不眠(アトピー性皮膚炎・更年期障害・気管支喘息・精神疾患など)
交代勤務による不眠
常用量の薬剤による副作用


不眠の解消には、睡眠を妨げている原因をできるだけ取り除いたり、生活習慣を改善して、生活のリズムを整えることも欠かせません。
ただ、自分でできることをしても眠れない場合、不眠が続いて苦しい場合には、お薬を使った治療も必要になります。

超短時間型
短時間型
中間型
長時間型

・アモバン
・マイスリー  など

・レンドルミン
・リスミー
・ロラメット
・エバミール  など
・サイレース
・ロヒプノール
・ユーロジン
・エリミン
・ベンザリン
・ネルボン    など
・ドラール   など

現在の不眠症に使われるお薬は、医師の指示を守って正しく用いれば、依存症になることはありません安全に使えるお薬です。
アルコールを睡眠薬代わりにしている方がいますが、アルコールは見せかけの入眠作用だけで、逆に質の良い睡眠を減らし、中途覚醒や早朝覚醒を招きます。
お薬で不眠のつらさを軽減しながら、より良い睡眠がとれる生活を目指しましょう。

睡眠が安定してきて、お薬が卒業できそうだという自信が持ててきたら、主治医に相談してみてください。睡眠薬を卒業する際は、一気に飲まなくするわけではなく、徐々に段階をふんで減量していく方法をとるのが一般的です。

漸 減 法 
まず、今までの3/4量を1〜2週間続け、経過がよければ1/2量でまた1〜2週間、更に問題がなければ1/4量に減らしていき、睡眠薬卒業となります。

間引き法 
漸減法で必要最小限の睡眠薬に減らした後に、お薬をまずは一晩おきに服用して様子を見てみます。大丈夫そうであれば、次に二晩おき、三晩おき…と、睡眠薬を服用する回数を減らしていく方法です。


どちらの方法でも、再び不眠が出てきた場合はお薬量を一段階戻したり、お薬の内容を検討するなど、臨機応変に対処します。
睡眠薬は自己判断で中断するのではなく、きちんと主治医と話し合い、様子を見ながら中止することが大切です。

なかなか寝付けなかったという経験は多くの人が経験しています。しかしその状態が何日か続くと、眠れないことがストレスになって、布団の中で緊張してしまい、眠ることにプレッシャーを感じてしまうことしばしばです。そのような悪循環に陥ってしまうと、不眠状態が長期化してしまったり、睡眠不足から、うつ病やいろいろな不安障害を併発してしまう可能性が高くなります。不眠症状が続くようなら、早めに専門医のもとで、不眠の原因に応じた治療を受けることをお勧めします。


 

 



 友人の睡眠薬をもらってのんでも大丈夫でしょうか?

控えるべきでしょう。最近の睡眠薬は比較的安全な薬ではありますが、年齢や個人の体質によって効き目は変わってきます。また、不眠の原因や不眠の程度もさまざまですから、不眠を改善するための処方にもかなり多くのパターンがあります。自分に合った睡眠薬でない場合には、効きすぎて長時間眠り続けてしまったり、頭痛やフラフラ感などマイナスな作用が出る可能性も多分にあります。
なお、睡眠薬に限らず、薬を気軽に人にあげてしまう人がいるようですが、ある人のために処方された薬をほかの人が飲むことは実は違法にあたります。


 眠れないので寝酒をするのですが、これは悪いのでしょうか?

かえって不眠を招くこともあります。
睡眠薬代わりのアルコールの使用は、見せかけの入眠作用だけで、逆に夜中に何度も目が覚めたり、睡眠自体を浅くします。また、寝酒の習慣を続けると、容易にアルコールの量は増えていきます。睡眠薬代わりの寝酒では、通常の飲酒と比べて摂取量が急速に増加しやすく、アルコール過剰摂取になる身体的・精神的問題も起こりやすいので注意が必要です。

 眠れないことが多いのですが、どの段階から薬が必要になりますか?

一時的な不眠は誰にでもありうることで、すぐに薬が必要というものではありませんが、不眠が続いてつらいと思っているなら治療を考えて見ましょう。
医学的な定義では、入眠困難・中途覚醒・早朝覚醒・熟睡障害などが少なくとも1ヶ月以上続いているものとされていますが、治療は早いに越したことはありません。
ひとりで悩んでいては、慢性化してこじらせるもとです。早めに専門医を受診しましょう。
 

 睡眠薬は飲み始めると、量を増やさないとだんだん効かなくなってしまう?

以前よく使われていたバルビツール酸系の睡眠薬では、体が薬に慣れてだんだん効きが悪くなる「耐性」がしばしば問題になりました。
現在使われているベンゾジアゼピン受容体作動薬では、医師の指導を守って服用すれば、使用を続けたからといって、だんだん量を増やさないと効かなくなる、ということは基本的にありません。
依存性もほぼありませんので安心して服用できます。


 睡眠薬を使っていても日中車の運転はできますか?

超短時間作用形の睡眠薬なら7〜8時間後には消えているものもありますが、中・長時間作用型の薬では、眠気を催すほどではなくても、薬の作用が続いているものがあります。
自動車の運転をするから睡眠薬を使えないというものではありませんが、事故につながる危険性は配慮しなくてはなりません。
自動車を運転する必要がある人は、あらかじめ医師に相談してください。

 睡眠薬を飲んでいると「認知症になる」というのは本当ですか?

睡眠薬を服用したために「認知症(いわゆる痴呆症)」になるというのは、根拠のない話です。
ただ、副作用で「記憶障害」が起こることはあります。「薬を服用してから寝るまでのことを覚えていない」「夜トイレに起きたときのことを覚えていない」というようなものです。
こうした睡眠薬の副作用は、不適切な使用法が招いていることが多いものです。服用後、薬が効き始めているのに寝なければその間の記憶は抜けやすくなります。夜中にトイレに起きる人は、それを考慮した上でのお薬の選択も必要になります。

 睡眠薬を飲んでも効かないときはどうすれば良いのでしょうか?

お薬の効果が現れないというときには、いくつかの原因が考えられます。
ひとつは、背景に睡眠を妨げるような病気があって、そのために不眠が起こっている場合です。「睡眠時無呼吸症候群」で呼吸障害があったり、「むずむず脚症候群」で異常感覚があれば、よく眠れるようになるためにはそちらの治療を行う必要があります。
「うつ病」もそのひとつです。うつ病の症状のひとつに不眠がありますが、うつ病の治療をせずに睡眠薬だけ飲んで寝ようとしても、睡眠薬は上手く作用してくれません。
また、加齢とともに身体が求める睡眠時間は短くなっていくのが普通です。自分の年齢にそぐわない睡眠時間をとろうとしても無理があります。
睡眠を妨げる要因のチェックも含め、生活を見直すとともに、主治医に相談してみてください。
医師の指示がないのに、余っている睡眠薬を追加して飲むことは避けてください。

参考文献
睡眠障害の対応と治療ガイドライン 内山 真 著
睡眠障害〜眠りのメカニズム〜 伊藤 洋 著
不眠症とつきあうコツ 伊藤 洋 著
きょうの健康 2006.6
うつ病のQ&A 渡辺昌祐 著




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