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パニック障害

 
パニック障害 とは
パニック障害 の主な症状
パニック障害 の原因
パニック障害 に併発しやすい病気
パニック障害 の治療
治療中の生活で気をつけるべきこと


最近はよく耳にするようになった「パニック障害」。
芸能人の長嶋一茂さん、堂本剛さん、アンルイスさん、田中美里さん、円広志さん、比企理恵さん、高木美保さん、中川家剛さんetc がTV番組のオープニングなどで自身の体験談を話されていますが、突然、何のきっかけもなく、「ドキドキして胸がはりさけそうになる」「息が苦しくなる」「原因不明のめまいがして座り込んでしまう」「気持ちが悪くなる」などの発作が起こり、これが何回も繰り返されるという病気なのです。

だれでも緊張したり不安や恐怖を感じたら、ドキドキしたり息が苦しくなったりします。しかしそれは、何らかの原因があってのものです。
パニック障害の特徴は、特に思い当たる原因がないのにこのような症状がおこるところにあります。
そのため、患者さんには「またあんな発作が起こるかもしれない・・・」という不安がつきまといます。
病気が進行してくると、以前に発作が起きた場所などを避けるようになったり、発作の不安でひとりで外出できなくなったりするなど、日常生活に大きな支障をきたすようになります。

パニック障害はありふれた病気で100人に1人の割合で発病すると報告されています。
欧米では、男性:女性=1:2の割合で女性に発病しやすいとされています。(日本での調査では同じくらいの割合の発病が報告されています)
年齢では、男性は25〜30歳ごろに多く、女性では35歳前後に発病する方が多いようです。
発作の症状は5月と10月に多いと言われておりますが、1年を通して発症する可能性のある病気です。
近年、医療界ではパニック障害に対する理解と治療が飛躍的に進歩しました。
しかし、一般の方のパニック障害に対する理解はいまだ十分ではないようです。多くのパニック障害の患者さんが、発作が起こってもこれが何なのか、病気なのかどうかわからず、1人で悩み続けています。

パニック障害は、気の持ち方や個人の努力で乗り越えられるものではなく、治療が必要な病気です。少しでも早く適切な治療を受けることで確実に回復し、発作の心配のない生活に戻ることができます。1人で悩まずに、まずは専門医にご相談ください。



パニック障害には「パニック発作」「予期不安」「広場恐怖」という3つの症状があります。

パニック発作の特徴

心臓がドキドキする(動悸・心拍数の増加)
汗がでる
からだが震える
息切れがしたり、息苦しさがある
喉に何かつまったような窒息感
胸の痛み、胸のあたりの不快感
吐き気、おなかのあたりの不快感
めまい、ふらつく感じ、気が遠くなるような感じがする
今、起こっていることが現実でないような感じや、自分が自分でないような感じ(離人症状)
10
コントロールを失うこと、または気が狂ってしまうのではないかという恐怖
11
このまま死んでしまうのではないかという恐れがある
12
からだの一部がジンジン、ビリビリとしびれる感じがする
13
寒気がする、または熱っぽく感じる
参考:DSM-W-TR 精神疾患の分類と診断の手引き 医学書院:2003
この13項目のうち、4つ以上の症状が同時に起こる場合で、なおかつ以下の条件を満たす場合、パニック障害である可能性が高くなります。

○病院で心電図や血圧などを検査しても、身体的な異常はみとめられない。
○発作は、多くの場合、5〜20分程度でおさまる(長くても1時間程度)。
○発作が始まってから10分以内に発作のピークがある。
○発作を何度も繰り返す。


パニック発作が起こりやすい生活の場面

* 電車に乗っているとき * 緊張感がとけてホッとしたとき
* 会社での会議中 * 以前にパニック発作を起こした場所
* 自分で車を運転しているとき  

■予期不安
予期不安とは、パニック発作が繰り返されるうちに、「またあの発作が起こってくるかもしれない・・・」という漠然とした不安が常につきまとうようになることです。

予期不安の症状

発作の症状そのものに不安を感じる
発作によって病気になるのではないかと恐れる
発作によって死んでしまうのではないかと思う
発作によって気を失ってしまうのではないかと思う
発作によって事故を起こすかもしれないと思う
発作を起こしても助けてくれる人がいないことが心配である
発作を起こした場所から、すぐに逃げ出せないことが心配である
発作によって人前で自分が取り乱してしまうことを恐れる
発作によって人前で倒れたり、吐いたり失禁してしまうのではないかと恐れる
10
発作を起こして他人に迷惑をかけるのではないかと心配になる

※予期不安は個人によって不安や恐怖を感じるポイントが異なります。
  当てはまる症状がいくつもある方もおられますし、あまり目立たない方もおられます。


予期不安の症状の強さ

軽症

外出には多少不安を感じ、必要なところにだけ行く状態
中等症
ひとりで外出することが出来ない場合もあり、行動が制限されている状態
重症
付き添いなしには外出できない・ほぼ自宅に閉じこもっている状態

■広場恐怖 (agoraphobia)
広場恐怖とは、以前に発作を起こした場所を恐れたり、発作が起きたときにすぐに助けを得られないような場所を恐れ、そのような場所や状況を避けることです。予期不安が実際の行動に現れた状態ともいえます。「広場のような広い場所を恐れること」ではありません。『発作恐怖』という表現が適切なのかも知れません。

広場恐怖が起こりやすい生活の場面

* 公共の交通機関(飛行機・新幹線・特急(急行)電車・バスなど)
* 狭い場所(トンネル・エレベーター・橋など)
* 束縛された場所(美容院・歯医者・会議・行列に並ぶ・渋滞中の車の中など)
* 人ごみの中 * 1人で自宅にいる時

※広場恐怖は、パニック発作や予期不安のように必ず起こるわけではなく、個人によっては生じない場合もあります。



パニック障害の原因はハッキリと解明されているわけではありませんが、最近の研究で脳の3つの部分に通常とは違った変化が起こっていることが指摘されています。
このような変化は、ストレスや過労、睡眠不足、風邪などの身体的な悪条件が関係して起こるといわれています。

この図のように、脳の各部位のそれぞれが持つ機能に応じて、パニック発作や予期不安、広場恐怖などの症状が現れると考えられます。各部位は単独で機能しているわけではなく、脳内でネットワークを作って機能しているのです。


はじめて
パニック発作が起こる
ある日突然、動悸や息切れ、めまいなどの発作に襲われる。病院で検査をしたが異常なしといわれる。
 
パニック発作が
繰り返される
気にしないようにしていたが、また同じような発作が何回か起きる。
 
「体のどこかが悪い」と
心配になる
別の病院でもう一度診てもらうが、やはり異常なしといわれる。しかし「あんな発作があるのに異常がないなんておかしい・・・検査にひっかからなかっただけで体のどこかがおかしいのでは」と心配になる。
 
予期不安
普段の生活でも、「また発作が起こるのでは・・・」と不安になり、注意深くなる。
 
広場恐怖
発作を起こしたときに助けが得られないことを心配して、特定の場面や状況を避けたり、自宅に引きこもりがちになる。
 
うつ状態
気分が沈み、うつ状態に陥る。

パニック障害は治療しないで放置しておくと徐々に悪化していきます。
心当たりの症状があられる方は、早めの治療をお勧めします。


薬物療法 
−お薬で治療を行います−
パニック障害は、とても苦痛の強い発作が起きる病気です。そのため、治療はSSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)、抗不安薬などのお薬で、パニック発作が起こりにくい脳内環境をつくっていきます

パニック発作を繰り返す
『急性期』
治療開始から1〜3ヶ月
まずはお薬を服用してパニック発作を消失させます。
お薬は少量からはじめて体を慣らし、徐々に治療に必要な量まで増やしてパニック発作が起こらないようにしていきます。お薬が増えても、病気が悪化しているわけではありませんので安心してください。
 
パニック発作がなく、安定した
『安定期』
治療開始から2〜6ヶ月
予期不安や広場恐怖の改善を行います。
この段階ではパニック発作はなくなります。しかし、予期不安や広場恐怖などの症状が残る場合もありますので、それらの症状を改善し、安定した生活を送れるよう、治療を続けていきます。
 
パニック障害が
改善した状態を維持する
『維持期』
治療開始から3〜12ヶ月
症状がぶりかえさない状態をつくります。
症状が改善してすぐに治療を止めてしまうと、ぶりかえすことがあります。そのためしばらくお薬の服用を続けて、発作が起きない状態を維持します。
 
お薬を徐々に減らして
治療を終了する
『治癒期』
治療開始から8〜18ヶ月
お薬を飲まなくても
   症状が改善した状態を維持できるようにします。

お薬の服用を中止するときには、突然中止するのではなく、徐々に段階を踏んで減らしていきます。

治療の開始から終了までは、個人差があります。もともと不安を感じやすいタイプの方や、パニック障害と気づかず治療開始が遅れてしまった方などは、治療終了までの時間がかかってしまうこともあります。
はじめてパニック発作が起きてから、2〜3ヶ月以内にきちんと治療を開始することが大切といわれています。パニック障害を長引かせないためには、予期不安や広場恐怖がまだ強くなっていないこの時期に、きちんとした治療を開始することが重要です。

薬物療法で期待される効果は、

パニック発作を起こさないようにすることができます。
予期不安を解消したり減らしたりすることができます。
広場恐怖を解消したり、場面を回避してしまう行動を減らすことができます。
などです。

薬物療法の利点は、お薬を飲み忘れなければ、ご本人が医師の指示に従ってきちんとお薬を服用さえすればあまり努力することなく症状が改善していくことでしょう。治療効果も心理療法などと比べて比較的早く現れます

■心理療法 −パニック障害の心理療法には、認知行動療法が適しています−
パニック発作に関連した場所や状況を避ける行動が強い場合にお薬と組み合わせて、認知行動療法を行うこともあります。
避けてしまう場所や行動について患者さんと話し合い、苦手順にランク付けして表を作っていきます。これを「不安階層表」といいます。この表をもとに、一番苦手ランクの低い場面や行動から少しずつ挑戦していきます。この方法を「エキスポージャー」といいます。

しかし薬物療法と違い心理療法ではパニック障害の方ご自身にかなりの努力が要求されます。

自分の嫌な場面や避けたい場面に直面しなければなりません。
心理療法の開始直後は、一時的に不安が大きくなるかもしれません。
認知・行動療法はどんな方にも適しているともいえません。

ですから、当院では最初に薬物療法を、その後、ご本人の希望があった場合や薬物治療だけでは著しい改善が見られない方に、薬物療法と併用して心理療法をお勧めしております。
詳しくは医師におたずねください。


■しっかり服薬を続けていきましょう
パニック障害は脳内の伝達物質であるセロトニンの量が不安定になるために起こる病気です。
よってパニック障害のお薬は、このセロトニンを正常な量に安定させる作用があります。
お薬を飲み続けていると、脳の体質自体が変わり、パニック発作が生じにくくなります。
「ちょっと楽になったからお薬をやめてみよう」と自己判断でお薬を中止してしまっては、セロトニンの量はまた不安定になり、結果パニック障害が再発してしまいます。
医師は患者さんの状態から、お薬から卒業しても再発しない時期をきちんと見定めています。医師の指示に従ってきちんとお薬を飲み続けることが回復への一番の近道です
もし「お薬をそろそろ減らしてもいいんじゃないかな」と感じたときには医師に話してみてください。疑問を抱えたままにせず、話し合いながら治療を進めていくことが大切です。

■質のよい睡眠をとりましよう
疲労や睡眠不足はパニック発作を起こしやすくします。
睡眠不足になると、脳はコルチゾールというホルモンやカテコラミンという物質を多く分泌しますが、これらの物質はパニック発作を引き起こす要因にもなります。質の良い睡眠で、きちんと脳と体を休ませてあげることが大切です。

■太陽の光を浴びましょう
パニック障害の症状にはセロトニンと言う脳内ホルモンが深く関わっています。
このセロトニンは、太陽の光を浴びることで正常な分泌を促すことができることがわかっています。特に朝日をきちんと浴びることが効果的です。

■刺激物を避けましょう
パニック発作は、いろいろな物質によっても誘発されやすいことがわかっています。
例えば、二酸化炭素。清涼飲料水などで多量に摂取してしまいがちですが、発作を招く危険性があります。アルコールも発作を起こしやすくします。コーヒーや紅茶など、カフェインを多く含む嗜好品やタバコに含まれるニコチンなども取りすぎも症状を悪化させる可能性がありますので、ほどほどを心がけましょう。

■心身のストレスを減らしましょう
職場や学校の人間関係や、家族の問題など、心理的なストレスだけでなく、過労や睡眠不足などの身体的なストレスもパニック発作につながります。心にも体にも過度な負担をかけないよう、ゆとりのある生活を心がけましょう

どんなに高価な球根でも土が痩せていれば立派な花が咲かないのと同じで、どんなに治療効果の高いお薬を使っても、患者さんの身体が弱っていては治療効果は半減してしまいます。
一日も早く、パニック発作や予期不安から開放された生活に戻るために、できる範囲で少しずつ努力をしていくことが大切です



 



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