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心の症状としての『心配』と『不安』と『恐怖』 について、そして全般不安症GAD

当院の外来に受診される患者さんは 概ね不安と抑うつのどちらか、
もしくはどちらも抱えて来院されます。
私たちの生活の中で、『心配』と『不安』と『恐怖』 は一般用語ですが
医学的にはどの様な違いがあるのか?簡単にまとめてみました。
  

 心の症状としての『心配』と『不安』と『恐怖』
  心配 不安 恐怖
重症度 比較的軽い 中等度 強い
対象 対象はある(主に未来の出来事) 漠然としている 明確な対象がある
「失敗したらどうしよう」
「なんとなく落ち着かない」
「犬が飛びかかってきて怖い」
関係する脳の部位 前頭前野

扁桃体 + 前頭前野

扁桃体+ 前頭前野

扁桃体は脳の側頭葉の奥にある小さな構造で
   危険察知
   恐怖反応
   情動記憶を担当する、“脳の警報装置”のような役割

前頭前野は「本当に危険?」「大丈夫かもしれない」と冷静に判断し
  扁桃体の暴走を抑える役割 

役割 考える・予測する・計画する 危険察知と警戒状態 危険への即時反応
重症度のイメージ 「頭で考えている状態」 「全身が警戒している状態」 「非常ベルが鳴っている状態」
関連疾患  心配性(疾患の一歩手前)

不安障害

うつ病・うつ状態

全般不安症

パニック障害

不安障害

恐怖症

治療の対象か? 心配=通常は正常 不安=続けば治療対象
(生活に支障があれば対象)
恐怖=強すぎれば治療対象
(生活に支障があれば対象)
特徴

「心配」は、
1:明日の会議
2:子どもの進学
3:将来のお金 など“対象がある考えごと

人間が危険に備えるために必要な正常反応であり、
比較的軽い状態、まだ考える余裕がある
ただし、
心配が止まらなくなると、全般不安症GADに発展してしまう可能性があります。

「不安」は、
1:理由は分からないけど落ち着かない
2:何か悪いことが起こりそう
3:常に緊張している
という状態です。

特徴は
対象がはっきりしない
こと また、
1:動悸
2:息苦しさ
3:不眠
4:胃腸症状 など
身体症状も出やすく、不安が長引くと、
仕事・学校・家庭生活にも大きく影響します。

“明確な対象”
に対する強い反応です。

身体では
心拍数上昇
発汗
逃げたい感覚 など、
危険から身を守るための強い生体反応

以上簡単にまとめてみました、これらのことを元に
患者さんの診察で 心配、不安、恐怖、抑うつ、などを聞き取り診察に生かしていきます
また 自記式心理検査 
不安の評価:STAI GAD-7 LSAS-J CUDOS-A
抑うつの評価:SDS PHQ-9 QIDS-J CES-D K6などを活用して 
治療の進展度を患者さんと共有して 治療を進めていきます。(共同意思決定SDM) 

そして全般不安症 GAD

 最近の外来では、「考えなくていいことまで考えてしまう」「常に最悪を想像して疲れる」「心が休まらない」という相談が増えています。
こうした状態が続く病気の一つが、全般不安症(GAD)です。

全般不安症は、仕事、健康、人間関係、家族のことなど、さまざまなことに対して過剰に心配し続けてしまう病気です。しかし症状の特徴から、「単なる心配性な性格」「真面目すぎるだけ」と考えられ、医療につながっていない方も少なくありません。
  

特に日本では「不安を我慢する文化」が強く、責任感が強い人ほど、「自分が弱いだけ」「考えすぎないようにしよう」と抱え込みやすい傾向があります。
ところが実際には、慢性的な不安によって脳が常に“警戒モード”になり、動悸、肩こり、胃腸症状、不眠、疲労感など、自律神経症状を引き起こすことがあります。
 

そのような中、2026年3月23日、日本で初めて イフェクサー(ベンラファキシン)(SNRI)全般不安症GGADの保険適応を取得しました。これは、日本でも「慢性的な不安は治療対象である」という考え方が広がってきたことを示す大きな変化だと思います。
 
イフェクサーは、脳内のセロトニンやノルアドレナリンの働きを調整し、“不安を感じやすい脳の状態”を整えていく薬です。従来の即効性中心の抗不安薬とは異なり、「不安体質そのもの」を改善していく治療が期待されています。

もちろん治療は薬だけではありません。睡眠、生活リズム、運動、そして 認知行動療法(CBT)などを組み合わせることも重要です。

「性格だから仕方ない」と我慢していた不安が、実は治療可能な病気であることもあります。不安で疲れ切ってしまう前に、早めに相談することが大切な時代になってきています。

参照 
1:院長ブログ:2026年3月23日、SNRIであるイフェクサー(ベンラファキシン)が「全般性不安障害(GAD)」の適応追加を取得しました。

2:全般不安症/全般性不安障害(GAD)患者を対象としたイフェクサーSRカプセル(ベンラファキシン塩酸塩)の国内第3相試験 (B2411367試験)結果

  

 

 

 

 

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