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社会リズム療法(睡眠の重要性から)

社会リズム療法(SRT:Social Rhythm Therapy) は、
元々双極性障害(躁うつ病)やうつ病の治療 に用いられる
心理療法の一種で、
日常生活の「社会的リズム」を安定させることで、
気分の波を調整することを目的としています。

SRTは、行動療法、認知行動療法(CBT)、対人関係療法(IPT)
などの要素を組み合わせた治療法であり、基本気分の安定化
特に双極性障害の再発予防に効果があるとされています。


1. SRT(社会リズム療法)の基本概念

SRTの考え方の中心には、
「社会的リズム仮説」 があります。
この仮説では、以下のようなことが指摘されています。
 ⅰ人間の気分やエネルギーレベルは生体リズム
(概日リズム(がいにちりずむ)によって調整
されている。

 ⅱサーカディアンリズム:生活リズムの変化
(たとえば、食事の時間、睡眠時間、仕事の時間のズレ)が、気分の変動を引き起こす原因
となる。
 
 ⅲうつ病や双極性障害の人は 特にこのリズムの変化に敏感であり、
 安定したリズムを維持することで症状の再発を防ぐ
ことができる。

SRTは、こうした生体リズムと社会的活動のバランスを調整することで、気分の安定を図る治療法です。 

参考文献:
大うつ病性障害患者に対する対人関係および社会リズム療法 

気分障害に対する社会的リズム療法:最新情報 

対人関係および社会リズム療法:双極性障害におけるリズム調節障害に対処する介入 

双極性I型障害患者における対人関係および社会リズム療法の2年間の成果

2.なぜ概日リズム(がいじつりずむ)(サーカディアンリズム)の調整はメンタルヘルスに良いのか?

 概日リズム(がいじつりずむ)とは、約24時間周期で繰り返される体内時計のことで、脳の視床下部にある「視交叉上核(しこうさじょうかく)(SCN)」が司令塔となっています。

① セロトニンが安定する

朝日を浴びると網膜から光情報が視交叉上核へ伝わり、脳幹の縫線核にあるセロトニン神経が活性化されます。

セロトニンは
 ⅰ気分の安定
 ⅱ不安の軽減
 ⅲ意欲の維持
 ⅳ衝動性の抑制 に重要な神経伝達物質です。

概日リズムが整うことで、セロトニン分泌も安定しやすくなります。

② メラトニン分泌が正常化する

朝の光を浴びると、約14~16時間後に睡眠ホルモンであるメラトニンが分泌されます。

その結果
 ⅰ寝つきが良くなる
 ⅱ深い睡眠が増える
 ⅲ睡眠の質が向上するといった効果が期待できます。

睡眠改善はうつ病や不安症の改善にも直結します。

③ ストレスホルモン(コルチゾール)が正常化する

健康な人では、
 ⅰ朝にコルチゾールが高くなる
   ⅱ夜になると低下する
 ⅲというリズムがあります。

概日リズムが乱れると、
 ⅰ日中の疲労感
   ⅱ集中力低下
 ⅲ不安感
 ⅳ抑うつ気分 が生じやすくなります。

リズムを整えることでストレス耐性も向上します。

④ 自律神経のバランスが整う

概日リズムは自律神経とも密接に関係しています。

リズムが整うと
 ⅰ日中は交感神経優位
   ⅱ夜間は副交感神経優位 という理想的な状態になります。

その結果、
 ⅰ動悸
 ⅱめまい
 ⅲ頭痛
 ⅳ倦怠感 などの自律神経症状も改善しやすくなります。

⑤ 脳の感情調節機能が改善する

睡眠不足や概日リズムの乱れは、
 ⅰ扁桃体(恐怖・不安)
 ⅱ前頭前野(理性・判断)のバランスを崩します。

その結果、
 ⅰイライラしやすい
 ⅱネガティブ思考になる
 ⅲ不安が強くなる ことが知られています。

規則正しい生活は脳の感情コントロール機能を回復させます。

⑥ 炎症を抑える

近年、うつ病では慢性炎症が関与していることが分かってきました。

概日リズムが乱れると
 ⅰIL-6
 ⅱTNF-α
 ⅲCRP などの炎症性サイトカインが増加します。

一方でリズムが整うと炎症反応が抑えられ、脳機能の改善につながると考えられています。

まとめ

概日リズムを整えることで、
 セロトニンが安定する
 ⅱメラトニン分泌が正常化する
 ⅲコルチゾールリズムが整う
   ⅳ自律神経が安定する

 ⅴ感情を司る脳機能が改善する
 ⅵ炎症が軽減する 
といった多面的な効果が得られます。

そのため、うつ病・双極症・不安症・睡眠障害の治療では、「毎日同じ時間に起きる」「朝日を浴びる」「食事時間を一定にする」といった概日リズムの調整が、薬物療法と並んで重要な治療戦略と考えられています。


3. SRT(社会リズム療法)の治療目標 (SRTでは、以下の4つの要素を重視)

① 社会的リズムの安定化

  • 起床・就寝の時間、食事、仕事、運動、
    社交活動などの生活パターンを一定にする。
    ➡特に朝の起床時間を一定にする
  • 「社会的リズム指標(Social Rhythm Metric: SRM)」
    を用いて日々の生活習慣を記録し、
    リズムの安定性を評価する。

   

② 概日リズムの調整

  • 人間の体内時計(概日リズム)は、
    生活習慣の乱れによって狂いやすいため、
    規則正しい生活を送ることで調整する
  • 朝の光を浴びる、一定の時間に食事を取る、
    夜更かしを避けるなどの生活習慣の見直し、
    朝日が好ましいですが、室内でもカーテンを開けたり
    白熱灯をつけるだけでもOKです!

③ ストレス管理

  • 社会的な出来事や人間関係の変化が
    生体リズムに影響を与えるため、
    ストレス管理を行う。
  • 認知行動療法(CBT)の手法を取り入れ、
    ストレスを適切に対処する方法を学ぶ。
  • 気分を点数づけする。
    現在100点満点何点?自己評価を行う。(100点満点法)

   

④ 再発予防

  • 生活リズムの変化が気分の変動に
    与える影響を理解し、セルフモニタリングを行う。
  • 気分の点数づけ(100点満点法)により(またMBCにより)
    再発の徴候を予見する。

4. SRT(社会リズム療法)の実践方法

ステップ1:日常生活のリズムを記録

  • 「社会的リズム指標(SRM)」 を用いて、
    毎日の生活習慣を記録する。
  • 特に以下の項目を記録する。
    • 起床時間
    • 就寝時間
    • 朝食・昼食・夕食の時間
    • 仕事や学校の開始時間
    • 運動の時間
    • 他者との交流(家族・友人との会話など)
      リズムが乱れている部分を特定し、調整する。
  • スマートウオッチの活用で社会的リズムを調整する

    

 参考ホームページ:夜のコーヒーから睡眠の質を考察する

ステップ2:生活リズムの調整

  • 毎日同じ時間に起床・就寝する
  • 朝の光を浴びる(太陽光が主時計となる)
  • 食事の時間を一定にする(食事は副時計)
  • 適度な運動を取り入れる
    3・3・3運動の推奨➡1回30分・週3回・3ヶ月以上
  • 休日の生活リズムを崩さない
    休日でも2時間遅れまでに起き上がる

  

ステップ3:気分とリズムの関係を分析

  • 気分の波と生活リズムの関係を分析し、
    どのような行動が気分に影響を与えるかを理解する。
  • 例えば「夜更かしをした翌日は気分が落ち込む」
    「週末に生活リズムが乱れると調子が悪くなる」
    などのパターンを把握する。

ステップ4:セルフモニタリングの勧め

  • 気分の変動を記録し、早期に異変を察知する。
  • 生活リズムが崩れそうなときに調整できるようにする。

5. SRT(社会リズム療法)の効果

SRTは、うつ病はもとより、
特に双極性障害の再発予防に有効とされています。
研究によると、SRTを実践することで
以下の効果が期待できます。

  • 気分の安定化
  • 再発率の低下
  • 概日リズムの調整
  • ストレス耐性の向上
  • 社会的機能(仕事・学校・家庭生活など)の改善

6. SRT(社会リズム療法)の活用のポイント
  • 薬物療法と併用することが推奨される
  • 急激な生活リズムの変化を避け、少しずつ調整する
  • 休日も平日と同じリズムを保つ
  • セルフモニタリングを習慣化する
  • 専門家(医師・心理士)の指導のもとで
    実施するのが望ましい。

SRTは、生活リズムを整えることで心の安定を図る
シンプルかつ効果的な療法です。
うつ病患者さんや双極性障害の患者さんにとっては、
再発を防ぐ重要な手段
となるため、
継続的に実践することが大切です。
また一般社会人にとっても、脳内モノアミンを安定化させ
仕事のパフォーマンスを高めることが出来るので
睡眠覚醒リズムを保持することはとても重要です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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