コロナ禍を経験した私たちの生活は大きく変わりましたね。
その中で「お酒の飲み方」も確実に影響を受けていたことをご存じでしょうか。
健診受診者5,352名を対象にした研究が報告され、コロナ禍前・中・後での飲酒行動の変化が明らかになりました。(2025.8.22~23.第66回日本人間ドック・予防医療学会で健診ステーションさがみはら(神奈川県)の松本佐智代先生発表)

調査では、毎日飲む「毎日群」、時々飲む「時々群」、ほとんど飲まない「なし群」に分けて分析。
その結果、全体の飲酒者割合はコロナ前の68.0%からコロナ後には64.3%へと有意に減少していました。
特に男性での減少が顕著で、社会的変化の影響を受けやすいことが示唆されました。
興味深いのは「危険飲酒者」の変化です。
毎日群では変化が少なかったものの、時々群では全ての期間で有意に減少し、
なし群でも一部改善が見られました。
つまり、機会飲酒者ほど行動変容が現れやすく、会食の減少や生活習慣改善が定着した可能性があります。
(ヘビーな毎日群では変化は少なかったものの機会飲酒群にとってはCOVID-19が減酒効果があったということになります)

精神科・心療内科の視点から見ると、
この結果は「生活環境の変化が飲酒行動に直結する」という点で重要です。
飲酒はストレス対処の一つの手段として利用されやすいため、
社会の状況や働き方が変われば自然とパターンも変化します。
コロナ禍はネガティブな側面だけでなく、飲酒抑制という健康的な側面ももたらしたと考えられます。
アルコール依存症対策は「健康寿命の延伸」と「社会全体の損失削減」に直結するため、WHOが優先課題として取り組んでいる問題です
厚生労働省は、飲酒を「純アルコール量」で捉えることを推奨しており、
男性40g以上・女性20g以上を超えると生活習慣病やがんなどの健康リスクが高まると警告しています。
これは「安全な量」ではなく、超えると危険が増す基準です。
一方で「節度ある適度な飲酒」として、1日平均20g程度(例:ビール500ml、日本酒1合、ワイン2杯弱)が望ましいとされています。
ただし体質や年齢により影響は異なり、日本人は分解酵素が弱い人も多いため注意が必要です。
休肝日を設ける、空腹で飲まない、ゆっくり飲むなど飲み方の工夫も含め、健康を守るための意識が大切とされています。

当院は アルコール依存症の治療の 減酒療法を推奨しております
断酒でなく減酒!!
新しいアルコール依存症の治療の選択肢です ご希望のある方はご相談ください。