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鬼滅の刃から考えるASDアスペルガー症候群

皆さん ASDアスペルガー症候群 という言葉をご存知ですか? 
発達障害は言葉として有名になっていますが 発達障害のひとつの疾患です。
DSM-5(という診断基準)ではアスペルガー症候群はASDに統合

1. ASD(旧診断名:アスペルガー症候群)の基本(DSM-5)について

①社会的コミュニケーションの困難
表情や言外の意味を読み取りにくい/人との距離感や会話のリズムがずれる、ぎこちない。
②限定された興味・こだわり
特定の分野に強く没頭する/習慣や手順が変わると強いストレス/手順やルールの変化が苦手
③感覚特性
音・光・触覚などに過敏または鈍感。
過集中
興味のあることに極端に集中し、切り替えが難しい。
⑤発達早期から現れるが気づかれにくい場合もある。  

 ASDアスペルガー症候群の考え方、対応

 ASDは発達の多様性の一つであり、治療=矯正ではなく、「得意なことを伸ばす」「苦手なことを支援する」姿勢が重要です。年齢・発達段階・生活環境に応じた個別支援が基本になります。
環境調整:学校や職場での合理的配慮(例:静かな環境、視覚的支援、予定の明示)
   家庭内ではルーティンの安定化、視覚的スケジュール、安心できる場所を作る
   地域の支援制度(療育センター、発達支援事業、就労支援)を活用。
薬物療法(併存症状への対症療法として)
ASDそのものを治す薬はありませんが、併存症状への対応として使用されます
不安・抑うつSSRI・SNRI・NaSSA(ナッサ)・S-RIM(エスリム)など抗うつ薬
注意・衝動性ADHD治療薬(メチルフェニデート、アトモキセチン、グアンファシン)
強いこだわり・易刺激性抗精神病薬(リスペリドン、アリピプラゾールなど)・気分安定薬(バルプロ酸ナトリウム、炭酸リチウム、ラモトリギン) 

 鬼滅の刃登場人物のASD要素

『鬼滅の刃』の登場人物には、自閉スペクトラム症(ASD)的特性を想起させる要素が描かれています。冨岡義勇は空気を読みにくく誤解されやすいが、一貫性と誠実さで信頼を得る。我妻善逸は聴覚に敏感で不安が強いが、その感覚特性が剣技に直結する。嘴平伊之助は社会的ルール理解が弱く衝動的だが、動物的直感と身体能力で活躍。時透無一郎は過集中し感情表現が淡泊だが、集中力で柱へ最速昇進。栗花落カナヲは感情表現や意思決定が苦手だが、観察力と模倣力で柔軟に対応する。
鬼滅の刃ではASD特性を弱点でなく強みに変える視点を示しています。 ASDワールド!!

   

キャラクター ASD的に見える特性 物語での強みとしての活かされ方
冨岡義勇 空気を読みにくい/仲間から「嫌われている」と誤解されやすい/言葉少なめ 一貫性・誠実さ/規律を守る信頼感
我妻善逸 聴覚に極端に敏感(感覚過敏)/不安が強い/パニックになりやすい 聴覚の鋭さが剣技の発動につながる
嘴平伊之助 社会的ルールを理解しにくい/衝動的行動/身体感覚にこだわり 動物的直感と身体能力で大活躍
時透無一郎 強い没入(過集中)/感情表現が淡泊/切替が苦手 超集中力で柱に最速昇進
栗花落カナヲ 感情表現が乏しい/自己決定が苦手(コインで選ぶ) 観察力と模倣力の高さで柔軟に対応

 

鬼滅の物語から学べるASD理解のポイント

 「違い」は弱点ではなく特性
炭治郎は仲間の「変わり者」を否定せず受け入れる。これはASD支援の基本姿勢です。 
こだわりや感覚の強さ=力の源泉
ASDの特性は、環境調整次第で「弱み」から「強み」に変わる。
孤立と誤解の体験
義勇が仲間外れ感を抱く姿は、ASD当事者の社会的孤独と重なる。
型(ルーティン)の重要性
「全集中の呼吸=決まった手順」で安心し力を発揮。ASD支援でも「見通し・手順化」が有効。

 

 

 

 

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