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双極症・躁うつ病(双極性障害)の自殺予防に有効な薬物治療

双極症・躁うつ病(双極性障害)の自殺予防に有効な薬物治療

双極症患者は、一般集団と比較して自殺率および死亡率が高いことが課題とされています。
Journal of Affective Disorders誌2026年1月1日号の報告から韓国の双極症患者4万4,694例の医療保険請求データに基づき、特定の薬物治療が自殺リスクに及ぼす影響を長期的に分析したものを
紹介しますね。

 主な結果:自殺リスクの減少が認められた薬物治療

1. 単独投与による効果

  • リチウム単独投与:

    • 自殺リスクが39.2%減少しました(ハザード比[HR]:0.608)。

  • バルプロ酸単独投与:

    • 自殺リスクが26.0%減少しました(HR:0.740)。

リチウムおよびバルプロ酸は、非併用の場合と比較して、双極症患者の自殺リスクを有意に減少させることが確認されました。


2. 併用療法によるさらなる効果

リチウムまたはバルプロ酸に非定型抗精神病薬を併用することで、自殺リスクのより大きな減少が示されました。

  • リチウムと非定型抗精神病薬の併用:HRは0.154

  • バルプロ酸と非定型抗精神病薬の併用:HRは0.302

複数の薬剤を組み合わせることで、単独投与よりも強力にリスクが抑制される可能性が示唆されました。

💡 結論と示唆

著者らは、双極症患者の自殺リスク減少には、リチウム単独またはバルプロ酸単独での治療が有効であると結論付けています。

さらに、自殺リスクが高い双極症患者においては、リチウムまたはバルプロ酸と非定型抗精神病薬との併用が、自殺リスクの減少に強く関連しているとしています。これらの知見は、双極症の薬物治療選択において、自殺予防を目的とした指針を提供するものです。

アイさくらクリニックでも双極症・躁うつ病(双極性障害)の方への薬物療法には炭酸リチウム(リーマス)やバルプロ酸ナトリウム(デパケンR・セレニカR)を積極的に使用しています、定期的血液検査でモニタリングを行いがら効果、副作用の予防を行っています。

Journal of affective disorders. 2026 Jan 01;392;120264. doi: 10.1016/j.jad.2025.120264.

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