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隠れ貧血(潜在性貧血)について 

1. 隠れ貧血とは?
一般的な血液検査では「貧血なし」と診断されるが、体内の鉄が不足している状態

「潜在性鉄欠乏」や「鉄欠乏状態」とも呼ばれる

自覚症状があっても、ヘモグロビン(Hb)値が正常範囲であるため見逃されやすい

2. 通常の貧血との違い

分類 ヘモグロビン (Hb) フェリチン(貯蔵鉄) 自覚症状
正常 正常 正常 なし
隠れ貧血 正常 低い↓↓ あり
鉄欠乏性貧血 低い↓↓ 低い↓↓ あり

フェリチン:体内の鉄の貯蔵量を示す指標。これが低いと鉄不足の可能性が高い。 

3. 主な症状

  • 慢性的な疲労感、倦怠感
  • 頭痛、めまい、立ちくらみ
  • 冷え性、手足の冷たさ
  • 集中力の低下、イライラ
  • 動悸、息切れ
  • 髪が抜けやすい(鉄不足で栄養不足) 
  • 肌の乾燥やくすみ
  • 氷食症(無性に氷が食べたくなる) 
  • 爪が薄くなったり、剥がれやすくなる
    (スプーンネイル、匙状爪、二枚爪)

「何となく不調」が続くのに原因が分からない場合、隠れ貧血を疑う価値があります。

4. 原因

  • 月経による鉄の喪失(特に月経過多の人)
  • 妊娠・授乳期の鉄需要の増加
  • 偏食・ダイエットなどによる摂取不足
  • 消化器の病気(痔核・胃潰瘍・大腸ポリープ等)による出血
  • 激しい運動による鉄の消耗

5. 検査方法
通常の血液検査ではフェリチン測定しない場合もあるので
検査項目にフェリチン測定があることを確認しましょう。
(健康診断でフェリチン測定はオプションの場合もあります) 

  • フェリチン値の測定がカギ 隠れ貧血ではフェリチン値が低下
  • 血清鉄(Fe)も低下↓↓↓
  • 総鉄結合能(TIBC)は上昇↑↑↑
  • トランスフェリン飽和度(TSAT)(20%以下)は低下↓↓↓
  • 血小板増加は上昇↑↑↑

 フェリチン値が上昇している場合→フェリチン値が高い場合は
体内の貯蔵鉄が多くなりすぎている、また、肝障害や感染症、
悪性腫瘍、心筋梗塞などの可能性も疑われます。

6. 対処法・治療
① 食事療法
ヘム鉄を含む食品(レバー、赤身肉、魚など)を積極的に
ビタミンCと一緒に摂ると非ヘム鉄の吸収もUP

※ヘム鉄とは:ヘム鉄は、動物性食品に含まれる鉄分で、
「ヘム」と呼ばれる有機化合物と結合した鉄のことです。
主に赤身の肉、魚、レバーなどに多く含まれています。

   

② 鉄剤の服用
医師の指導で処方されることがある(フェロミアなど→非ヘム鉄)
胃腸への副作用(便秘・吐き気)に注意

③サプリメントの活用
ヘム鉄タイプは吸収率が高く、胃に優しい(ただし保険適用外)

7. 特に注意が必要な人

  • 月経がある女性
  • 妊娠・授乳中の女性
  • 成長期の子ども・思春期の女子
  • アスリート(持久系)
  • 慢性的な疲労を感じる人

8. まとめ
隠れ貧血は、「ヘモグロビンは正常でも体は鉄不足」という状態
気づかずに放置すると、貧血に進行するリスクも
疲労感や体調不良が続く場合はフェリチンの検査を受けるのがおすすめ
気になる方は仰ってくださいね!! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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