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ゴールデンウィーク明けの睡眠障害 5月病の視点から

5月病とは

5月病とは、主に4月に進学・就職・転勤などで新しい環境に入った人が、
ゴールデンウィーク(GW)明けごろから感じる
心身の不調
を指す日本独特の俗称です。正式な医学用語ではありませんが、
適応障害や軽度のうつ状態に相当することが多いと言われています。

5月病の初期の症状?
症状 症状
なんとなく憂うつ 特に理由もなく気分が沈み、楽しいと感じられない
眠れない・寝すぎる 入眠困難・中途覚醒や、逆に長時間眠ってしまう
やる気が出ない 勉強や仕事を始める気力がわかない、面倒に感じる
集中できない 読書や作業に取り組んでも注意が続かない
人と関わるのが億劫 職場や学校の人間関係を避けたくなる感覚
SNSが面倒 いつもならまめに返しているSNSが億劫、苦痛に感じる

 

その中で 睡眠をキチント確保している人、確保しようとしても眠れない人など症状の改善や悪化の違いが出てくるので 5月病の視点から睡眠障害を考えていきましょう

   

  1. 睡眠の悩みを訴える患者さんの数について、GWの連休明けに増えるなどの傾向はあるのか?
    →ずばり増えます!! 
    理由として 
    ⅰ 生活リズムの乱れ
    連休中の夜更かし・朝寝坊などで体内時計(概日リズム)がズレる
    仕事モードへのストレス 
    長期間の休み後はメンタル不調が多いもの「休み後はまた始まる…」というプレッシャーや不安により、入眠障害や中途覚醒が出やすくなります
    5月病の一環としての不眠
    5月病では、初期症状として「眠れない」「朝起きられない」などが多い 
    一般的にも睡眠障害がメンタル不調のサインになります
    気温・日照時間の急変 
    春は『三寒四温』『寒の戻り』など気温差・気圧変化による自律神経の乱れも不眠を誘発
  2. 特に多い年代や属性はあるのか?
    睡眠障害は年代によって 特長・傾向があります 簡単にまとめてみます
    属性・年代 睡眠障害の特徴・傾向
    若年層
    (思春期~20代)
    スマホ・SNS・夜型生活の影響で概日リズム睡眠障害(遅発型)が多い。学業・就職ストレスも影響。
    中高年
    (40~60代)
    ストレス性の不眠、睡眠時無呼吸症候群(SAS)が増加。特に男性はSASリスクが上がる。
    高齢者
    (65歳以上)
    入眠困難・中途覚醒・早朝覚醒などが多く、不眠症が顕著。加齢による生理的な睡眠の変化、基礎疾患の影響も大きい。
    女性
    (特に更年期・妊娠期)
    ホルモン変動により不眠・中途覚醒・レストレスレッグス症候群が増える。更年期障害との関連も。
    交代勤務者・夜勤従事者 交代勤務睡眠障害が多く、昼夜逆転や慢性的な睡眠不足の影響が大きい。
    精神疾患を抱える人 うつ病・不安障害・PTSDなどと高頻度で不眠が併発。睡眠障害が先行症状のこともある。
  3. 睡眠の悩みとは、具体的にどのようなものが多いですか? 

     入眠障害(寝つきが悪い)→布団に入っても30分~1時間以上眠れない/考えごとが止まらない/不安で眠れない
    中途覚醒(途中で何度も起きる)→夜中に何度も目が覚めてしまう/トイレで目が覚めた後、再入眠できない
    早朝覚醒(早く目覚めてしまう)→朝4~5時に目覚めてしまい、それ以降眠れない/睡眠時間が短くなる
    熟眠障害(眠った感じがしない)→十分寝たはずなのに疲れが取れない/「眠った感覚」がなく常にだるい
    日中の眠気・集中力低下→会議や授業中に居眠りしてしまう/仕事に集中できない/車の運転中に眠くなる
    悪夢・夢の多さ→嫌な夢で夜中に何度も目覚める/悪夢で眠るのが怖い
    いびき・無呼吸→家族に「息が止まっている」と言われる/いびきで起こされる/起床時に頭痛がする
    体の違和感(レストレスレッグス症候群など)→足がムズムズして眠れない/寝るときに足を動かしたくなる衝動がある
    生活リズムの乱れ→夜型が治らない/昼夜逆転して学校・仕事に行けない/休日に寝だめしてしまう
  4. 睡眠の障害を放置した場合、心身にどのような影響が出ますか?
    ⅰ前頭前野(意思決定・思考・集中力)→判断力・注意力・計画性が低下。仕事や勉強の効率が大きく落ちる。感情のコントロールも乱れやすくなる。頭がぼーっとしてやる気が出ない
    ⅱ扁桃体(感情の反応・不安)→怒りや不安の反応が過敏になり、ストレス耐性が低下。うつや不安障害のリスク上昇。些細なことでイライラ・怒りっぽくなる
    ⅲ海馬(記憶の形成)→記憶力・学習能力が低下。特に「新しい記憶を固定する能力」が落ちる。会話中に言葉が出てこない
    ⅳ視床下部(ホルモン・自律神経調整)→自律神経のバランスが崩れ、体温調節・食欲・性欲・ホルモン分泌に悪影響。免疫力の低下や高血圧・心疾患リスク増加・糖尿病や肥満のリスク上昇(睡眠不足で食欲増進のグレリンが↑↑ また 食欲を抑えるレプチンが↓↓する)・消化器系の不調・がんリスクの上昇(可能性あり) 
  5. 日常生活の中で、眠りを改善する方法はありますか?  

1. 規則正しい生活リズムを保つ
毎日同じ時間に起床・就寝する→休日でも大幅にリズムを崩さない(±2時間以内)

朝起きたら日光を浴びる→体内時計のリセットに効果的。特に起床後30分以内が有効。

 2. 就寝前の過ごし方を整える
就寝前1時間はリラックスタイムに→スマホ・PCなどのブルーライトを避ける(夜は読書や音楽が◎)

入浴は寝る1~2時間前に→ぬるめ(38~40℃)のお風呂で副交感神経が優位に

寝る直前の食事・カフェイン・アルコールは避ける→カフェインは6時間以上前、アルコールは眠りを浅くします

 3. 寝室の環境を見直す
室温・湿度の調整→室温:18~22℃、湿度:40~60%が理想

遮光カーテンで暗く/静かな環境に→遮音・遮光は睡眠の質を左右します

寝具の見直し→枕やマットレスが合わないと、肩こりや腰痛、熟睡感の低下につながる

 4. 日中の行動を工夫する
適度な運動(夕方までに)→ウォーキングなどの有酸素運動は入眠を促進。ただし寝る直前は逆効果

昼寝は短め(20分以内)に→夕方以降の昼寝は夜の睡眠に悪影響

 5. 心のストレスを和らげる
日中にストレスを発散する習慣を作る→軽い運動、趣味、日記を書くなど

不眠にこだわりすぎない→「眠らなきゃ」と焦ることがかえって不眠を悪化させます

おまけ
 アルコールを「寝酒」として使う→かえって不眠症が悪化
寝室での長時間の活動(仕事・食事)→寝室=眠る場所の関連が弱まる 寝室にTVを置かない、寝室で仕事をしないなどが推奨

 

 

 

 

 

 

 

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