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双極性障害(双極症)への炭酸リチウムの使用について 

現在でも炭酸リチウムは各国の治療ガイドラインにおいて
双極性障害の第一選択薬として推奨されています。
急性躁状態の改善効果が確立しており、維持療法では躁・うつ双方の再発予防に有効で、特に自殺リスク低減作用は国際的に強調される重要な利点と言われています

しかし PMDAは2025年9月、躁病や躁うつ病の治療薬・炭酸リチウムの
適正使用について再度注意喚起を行っています。 

2010〜23年のNDB解析では、新規処方例約50万件のうち54%血中リチウム濃度測定が一度も行われていない可能性が判明リチウムは治療域と中毒域が近接し、測定を怠ると重篤な中毒を引き起こす危険があり、採血をしていないと医薬品副作用被害救済制度の対象外となってしまいます。
添付文書では投与初期・増量期は週1回、維持期は2~3か月ごとの測定が推奨され、1.5mEq/L超で減量・休薬、2.0mEq/L超で中止が必要とされてます。脱水や腎機能低下、NSAID併用はリスクを高め、中毒の初期症状として食欲低下、嘔吐、振戦、錯乱などが挙げられる。実際に高濃度により意識障害や肺炎を発症した例も報告され、臨床現場での徹底が強く求められている。

日本うつ病学会やCANMAT、NICEなどのガイドラインでも、長期管理における中心的薬剤と位置づけられています、抗精神病薬やバルプロ酸などと並び第一選択群に位置づけられるお薬なので 適切な管理の下治療が進められることを願っております。
(当院はキチンとガイドラインに沿って治療を進めています) 


 
また炭酸リチウムは治療域と中毒域が近接しているため、定期的な血中濃度測定と腎機能・甲状腺機能のモニタリングが必須であることも明記されています。(ケースによっては甲状腺機能低下症を併発することがあるので甲状腺機能のモニタリングは必要) 
ガイドラインは、適切なモニタリング下での使用により、再発抑制・予後改善に最も信頼できる薬剤と評価されています。

 

 

 

 

 

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