不眠症治療薬「ボルズィ錠(一般名:ボルノレキサント水和物)」が2025年8月25日製造販売が承認されました!!
本剤はオレキシン受容体拮抗薬(DORA)の一つで、覚醒維持に関わるオレキシンの作用をブロックすることで自然な眠りを促す仕組みを持っています。すでにスボレキサント(ベルソムラ)やレンボレキサント(デエビゴ)やダリドレキサント(クービビック)など同系統薬が存在しますが、これらは半減期が比較的長く、翌日の眠気(持ち越し効果)が課題となっていました。
ボルズィ錠の最大の特徴は、消失半減期が約2.1時間と短い点です。オキサアジナン環の導入により脂溶性を抑え、体内から速やかに消失するよう設計されているため、翌日への影響が少ないと期待されています。アイさくらクリニックも参加した日本人不眠症患者を対象とした第III相試験(TS142-301)では、就寝までの時間(主観的睡眠潜時)が有意に短縮し、プラセボに対する優越性が示されました。
用量は通常、成人で1日1回5mgを就寝直前に服用し、最大でも10mgまで。副作用としては傾眠や悪夢、倦怠感などが報告されていますが、多くは軽度です。一方で、重度肝障害のある患者では禁忌であり、またCYP3A4阻害薬との併用は避ける必要があります。
患者さんには「必ず就寝直前に服用」「食後すぐは避ける」「眠気がある場合は運転や危険作業を控える」などの注意が重要です。
オレキシン拮抗薬は“自然な眠り”をめざす新しい選択肢として広がりを見せていますが、ボルズィ錠は短い半減期という武器で“翌日に残さない眠り”を提供できる点で、今後の臨床現場での活躍が期待されます。
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