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空の巣症候群(からのすしょうこうぐん)とは

 空の巣症候群(からのすしょうこうぐん)とは

新年度は「新社会人のメンタルヘルス」が注目されがちですが、実は同じタイミングで静かに増えてくるのが、子どもの独立後に生じる空の巣症候群(Empty Nest Syndrome)です。
とくに育児に長く専念してきた母親に多くみられます。
子どもが進学・就職・結婚などで家を離れたあとに(一種の喪失体験による)喪失感・孤独感・無力感などが生じる状態を指します。
  

  • 「やるべきことが急になくなった」
  • 「家の中が静かすぎる」
  • 「自分の役割が終わった気がする」

こうした感覚は自然なものですが、長引くと注意が必要です。

 主な症状

心理的・身体的の両面に現れます。

心理面

  • 空虚感、寂しさ
  • 抑うつ気分(軽いうつ状態)
  • 不安、焦燥感
  • 自己価値の低下(「私は何者?」という感覚)

身体面

  • 睡眠障害
  • 食欲低下または過食
  • 慢性的な疲労感
 なぜ起こるのか(精神科医視点)

背景には「役割喪失」があります。

ⅰ特に日本では

  • 「母親=家庭・育児の中心」という役割が強い
  • 自己実現よりも家族優先の人生設計

このため、子どもの独立=人生の主軸の消失となりやすいのです。

ⅱその他の問題点として

  • 更年期(女性ホルモン低下の時期と一致するとダブルパンチ
  • 夫婦関係の再構築の難しさ(子は鎹(かすがい)、そのかすがいが無くなる) 
  • 社会的つながりの少なさ (家庭(育児)中心で生活していた場合、生き甲斐の中心が子供) 
 うつ病との違い

空の巣症候群は通常反応としての「適応反応」に近い状態ですが、

  • 2週間以上続く強い抑うつ
  • 興味・喜びの喪失
  • 日常生活に支障

があれば、うつ病への移行も考慮し、医療的介入が必要です。

 世界共通の現象だが国によって症状が違う

空の巣症候群(Empty Nest Syndrome)は、欧米で古くから研究されている概念で、アメリカ
ヨーロッパ、アジア各国、いずれでも報告されている様です。
子どもが独立するというライフイベントは普遍的であり、
それに伴う「喪失感」は文化を問わず起こります。

ⅰ ただし“なりやすさ”には文化差があります(ここが重要なポイント)
欧米(個人主義)
子どもは早期に自立するのが前提
親自身の人生(キャリア・趣味)を重視 
※ 空虚感はあっても比較的「軽く・短い」
日本・アジア(家族中心)
子ども中心の生活になりやすい
母親の役割が強い →「子ども=生きがい」になりやすい
※ 喪失感が強く・長引きやすい

ⅱ 海外研究で分かっていること
欧米の研究では、子どもの独立後に一時的に落ち込むのは自然な反応
むしろ夫婦関係で生活満足度が改善するケースもあるとされています。

※つまり「問題になるかどうか」は
その人の人生の軸が“子ども以外にもあるか”で決まります。

 対処法 

① 「喪失」ではなく「役割の変化」と捉える

  • 子育ての終了=「終わり」ではなく「次のステージ」
  • 人生後半の再設計のタイミング

② 小さな再スタートを作る

  • 趣味(運動・旅行・学び直し)
  • パート・ボランティア
  • 地域コミュニティへの参加

「新しい役割」を意識的に作ることが重要 何か専念出来るものを見つける

③ 夫婦関係の再構築

  • 会話の再開
  • 共通の活動(旅行・食事)

※ここがうまくいかないと孤独感が増幅します、現実的には夫も男性更年期で余裕がない場合
夫婦関係の再構築は困難
になります。当院では男性の男性更年期障害のホルモン補充療法をお勧めしています。
 

④ 子どもとの「適切な距離」

  • 過干渉にならない
  • しかし完全に断つ必要もない

※「心理的に適度な距離感」を保つことが鍵 しかし適度な距離感を保つのは難しいですよね!! 
  

 医療的サポートが必要なケース

以下があれば早めの受診を推奨します

  • 抑うつが強い・長引く
  • 不眠が続く
  • 日常生活が回らない
  • 不安や焦燥が強い

治療としては

  • 症状に応じて薬物療法
  • 認知行動療法(CBT)
  • 支持的精神療法

たかが空の巣症候群と言わず、症状の持続や重症度、生活障害程度によっては医療機関への相談をお勧めしております!!

 

 

 

 

 

 

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