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PDE-5阻害薬バイアグラ(シルデナフィル)・レビトラ(バルデナフィル)・シアリス(タダラフィル)のアンチエイジング効果について 

 PDE-5阻害薬(バイアグラ(シルデナフィル)・レビトラ(バルデナフィル)・シアリス(タダラフィル)の勃起不全(ED)の治療薬以外の効果についてまとめてみました。

バイアグラは、もともと狭心症の治療薬として開発が始まったのですが、
臨床試験でED(勃起不全)治療効果が偶然見つかり、ED治療薬として承認された薬です。
PDE-5阻害薬は末梢の循環改善などにより血管拡張作用や一酸化窒素(NO)経路の活性化
通じて、アンチエイジング(抗老化)効果が注目されています。

■ PDE-5阻害薬のアンチエイジング作用メカニズム

メカニズム 説明
血管拡張作用 NO( 一酸化窒素 )の分解を抑制 → 血管拡張・血流改善 → 各組織の酸素・栄養供給が向上
認知機能改善 血流改善による脳機能維持。アルツハイマー病のリスク軽減の可能性あり(研究段階)
テストステロン上昇作用 一部研究で、持続使用による男性ホルモン上昇の報告もあり
抗炎症作用 血管内皮機能の改善を通じて、慢性炎症の軽減が期待される
ミトコンドリア活性向上 細胞エネルギー産生をサポートし、代謝を改善

■ 代表的な薬剤の特徴比較(アンチエイジング視点) 

薬剤名
半減期
特徴 食事の影響 アンチエイジング観点の利点 ワンポイント
シルデナフィル(バイアグラ) 約4時間 即効性あり、持続時間は短い

食事の影響を受ける(服用前2時間は高脂肪食を避けるとベター。
空腹時の使用が望ましい)

一過性の血流改善効果。運動前の使用で血流ブーストの可能性 知名度で選ぶならこれ!!
バルデナフィル(レビトラ) 約4-5時間 作用発現が速く、安定した効果

食事の影響を受ける(服用前2時間は高脂肪食を避けるとベター。
空腹時の使用が望ましい)

比較的副作用が少なく、心血管系への影響がマイルドとされる 効果(勃起度)で選ぶならこれ!!
タダラフィル(シアリス) 約17.5時間 効果持続が長い(最大36時間) 食事の影響をほとんど受けない食後でも効果が期待 継続的な血流改善、前立腺肥大症治療薬としても認可済み(BPHにも有効) 食後でも効果があるのはこれ!!
効果の長さを優先するならこれ!!

(ウイークエンドピル→金曜日の夜服用すれば月曜日の朝まで効果あり)

■ 期待されるアンチエイジング効果一覧

作用部位 期待される効果
認知機能改善、脳血流改善、気分安定
心血管 動脈硬化予防、心筋保護
筋肉 血流改善によるパフォーマンス維持、筋肉痛緩和(運動後)
性機能 性欲維持、テストステロン分泌促進(間接的)
皮膚 毛細血管の血流改善 → 肌のハリ・ツヤ改善の可能性

■ 使用上の注意点

  • 心疾患・低血圧症のある人には禁忌(硝酸薬との併用禁止)

  • 頭痛・鼻づまり・消化不良などの副作用あり

  • 長期使用によるアンチエイジング効果は研究段階

  • 医師の処方が必要(処方箋医薬品・医療用医薬品です)(医師の処方箋なしで薬局やドラッグストアで購入できる「大衆薬」や「市販薬」ではありません)

■ まとめ 

PDE-5阻害薬は、単なるED治療薬にとどまらず、血流改善・代謝サポート・認知機能保護など、多方面において抗老化作用が期待されています。ただし、アンチエイジング目的での使用は現時点では保険適応外であり、PDE-5阻害薬に詳しい医師の診察の上処方されることが必要です。 

🧠 認知機能・認知症予防に関する研究

1. シルデナフィルとアルツハイマー病リスクの関連

米国の保険データを用いた大規模解析では、シルデナフィルの使用がアルツハイマー病の発症リスクを69%低下させる可能性が示されました。ただし、この結果は観察研究に基づくものであり、因果関係を確定するものではありません。 ​ PDE5_Inhibitors_UPDATE 文献1

2. タダラフィルによる脳血流改善効果

認知症を発症していない小血管疾患患者を対象とした無作為化クロスオーバー試験では、単回投与後に白質病変部位で最大9.8%の脳血流増加が観察されました。

ただし、認知機能への明確な改善効果は確認されていません。

PDE5_Inhibitors_UPDATE 文献2

3. PDE-5阻害薬とアルツハイマー病リスクの関連性に関する研究

英国の26万人以上の男性を対象としたコホート研究では、PDE-5阻害薬の使用が
アルツハイマー病のリスクを18%低下させる可能性が示されました。

特にシルデナフィルの使用者でリスク低下が顕著でしたが、
タダラフィルやバルデナフィルでは有意な関連は認められませんでした。 リンクページ

 

❤️ 心血管・寿命延長に関する研究

4. PDE-5阻害薬と心血管疾患・死亡率の関連

米国の50万人以上の男性を対象とした研究では、タダラフィル使用者で死亡率が34%、

心筋梗塞が27%、脳卒中が34%、認知症が32%低下することが示されました。

シルデナフィル使用者でも同様の傾向が観察されましたが、効果の程度はやや低いとされています。 ​

UTMB WWW (ROOT)  

⚠️ 注意点と今後の課題

  • 因果関係の確定にはさらなる研究が必要:​これらの研究は主に観察研究であり、PDE-5阻害薬の使用とアンチエイジング効果との因果関係を確定するには、無作為化比較試験などのさらなる研究が必要です。​

  • 副作用と禁忌の考慮:​PDE-5阻害薬は一般的に安全性が高いとされていますが、頭痛、鼻づまり、消化不良などの副作用が報告されています。また、硝酸薬との併用は禁忌とされています。​

  • 女性や若年層への効果は未確定:​これらの研究の多くは中高年の男性を対象としており、女性や若年層への効果については十分なデータがありません。

 

 

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