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5月病と脳腸相関(のうちょうそうかん)について

5月は、新年度の緊張が少しゆるみ、心身の疲れが表に出やすい時期です。
気分が沈む、やる気が出ない、眠れない、朝起きづらい――いわゆる「5月病」と呼ばれる状態です。実はこの不調は、心だけでなく「腸」とも深く関係しています。

「緊張するとお腹が痛くなる」「下痢や便秘が続くと気分まで落ち込む」という経験は、多くの方にあると思います。脳と腸は、自律神経やホルモン、免疫を介して互いに影響し合っており、
これを「脳腸相関」と呼びます。腸は“第二の脳”ともいわれ、消化・吸収・排泄だけでなく、心の安定にも関わっています。
  

腸内フローラ(腸内細菌叢)の安定は、セロトニンの安定に深く関わっています。
まず前提として
1:体内のセロトニンの約90%は腸で産生されます。
腸内細菌は食物繊維を分解して短鎖脂肪酸(酪酸など)を産生し、腸の粘膜を保護するとともに
セロトニンを作る腸内の細胞(腸クロム親和性細胞)を活性化します。
さらに腸内環境が整うと
2:腸の炎症が抑えられる
3:自律神経(特に迷走神経)が安定する
4:脳へのストレスシグナルが減るといった作用を通じて 
上記の理由により脳内セロトニンのバランスも安定します。
逆に腸内フローラが乱れる(ディスバイオシス)と
1:セロトニン産生の低下
2:腸のバリア機能低下
3:不安・抑うつの増悪 につながる可能性があります。 

 

5月病では、環境変化によるストレスが自律神経のバランスを乱し、腸の動きにも影響します。その結果、腹痛、便秘、下痢、胃もたれ、食欲不振などが出やすくなります。特に過敏性腸症候群(IBS)の方は、ストレスが腸を刺激し、その不快感がさらに不安を強めるという悪循環に入りやすいのが特徴です。

近年は、腸内細菌の働きも注目されています。腸内細菌は食物繊維を分解して短鎖脂肪酸を作り、腸のバリア機能や免疫の調整に関わります。また、迷走神経を通じて脳へ信号を送ることも分かってきました。腸内環境の乱れは、不安や抑うつ、睡眠の質とも関連すると考えられています。

   

5月の不調を整えるには、まず生活リズムを戻すことが大切です。朝の光を浴びる、朝食をとる、軽いウォーキングをする。発酵食品や食物繊維を意識し、乳酸菌・ビフィズス菌などのプロバイオティクスと、野菜・海藻・豆類などのプレバイオティクスを組み合わせることも有用です。

乳酸菌のビオフェルミン(ビフィズス菌(大腸)・フェーカリス菌(小腸)・アシドフィルス菌(小腸))
酪酸菌のミヤBM(スーパー善玉菌(大腸))
糖化菌のビオスリー(主にデンプンを分解して糖に変え、乳酸菌やビフィズス菌など他の善玉菌の増殖を助ける「腸のスターター」)

  

しかし、腹痛や下痢、便秘が長く続く場合、血便や体重減少がある場合は、自己判断せず医療機関を受診してください。
5月病は「気合いが足りない」のではありません。脳と腸が疲れているサインかもしれません。心とお腹を一緒に整える視点が、回復への第一歩になります。

 

 

 

 

 

 

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