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【血液検査について】

当院では、心と体の健康状態を総合的に評価するために血液検査を行っています。

心療内科・精神科で使用するお薬は安全性の高いものが多い一方で、肝臓や腎臓で代謝・排泄されるものも少なくありません。また、うつ病や不安症、不眠症、ADHDなどの症状の背景に、貧血や栄養不足、糖尿病、ホルモン異常などの身体的要因が隠れていることもあります。

そのため当院では、薬物療法を行う患者さんに対して治療開始前に血液検査を行い、その後も適宜必要な時に採血を実施しています。

採血では、

  • 肝機能
  • 腎機能
  • 糖代謝
  • 脂質代謝
  • 炎症反応
  • 貧血の有無
  • 栄養状態
  • 鉄や亜鉛やビタミンDなどの微量栄養素
  • 甲状腺ホルモン(必要時)
  • 男性ホルモン(必要時)
  • 女性ホルモン(必要時) 

などを確認し、安全で質の高い治療につなげています。
#1① 貧血・感染症の検査(血算)
#2② 肝機能検査
#3③ 腎機能検査
#4④ 糖尿病検査
#5⑤ 脂質検査(動脈硬化検査)
#6⑥ 尿酸検査
#7⑦ 電解質・ミネラル検査
#8⑧ 炎症反応
#9⑨ 栄養状態・微量栄養素検査
#10⑩ 男性ホルモン・前立腺検査
#11⑪ 女性ホルモン検査 
 

① 貧血・感染症の検査(血算)

項目 男性基準値 女性基準値
白血球(WBC) 3,500~9,700/μL 3,500~9,700/μL
赤血球(RBC) 438~577万/μL 376~516万/μL
ヘモグロビン(Hb) 13.6~18.3 g/dL 11.2~15.2 g/dL
ヘマトクリット(Ht) 40.4~51.9 % 34.3~45.2 %
MCV 83~101 fL 80~101 fL
MCH 28.2~34.7 pg 26.4~34.3 pg
MCHC 31.8~36.4 % 31.3~36.1 %
血小板 14.0~37.9万/μL 14.0~37.9万/μL

この検査で分かること

  • 貧血
  • 鉄欠乏
  • 感染症
  • 炎症
  • 出血傾向

貧血は疲労感、息切れ、めまい、集中力低下、気分の落ち込みの原因になることがあります。

② 肝機能検査 

項目 男性基準値 女性基準値
AST(GOT) 10~40 U/L 10~40 U/L
ALT(GPT) 5~45 U/L 5~45 U/L
γ-GTP 79以下 U/L 48以下 U/L
ALP 38~113 U/L 38~113 U/L
LDH 120~245 U/L 120~245 U/L
総ビリルビン 0.3~1.2 mg/dL 0.3~1.2 mg/dL

この検査で分かること

  • 脂肪肝
  • アルコール性肝障害
  • 肝炎
  • 薬剤性肝障害

精神科薬や睡眠薬を安全に継続するために重要な検査です。

③ 腎機能検査 

項目 男性基準値 女性基準値
尿素窒素(BUN) 8.0~20.0 mg/dL 8.0~20.0 mg/dL
クレアチニン(Cre) 0.65~1.09 mg/dL 0.46~0.82 mg/dL
eGFR 60以上 60以上

この検査で分かること

  • 慢性腎臓病(CKD)
  • 腎機能低下
  • 高血圧や糖尿病による腎障害

腎機能が低下すると薬が体内に蓄積しやすくなるため、定期的な確認が必要です。

④ 糖尿病検査 

項目 男性基準値 女性基準値
空腹時血糖(BS) 70~109 mg/dL 70~109 mg/dL
HbA1c(NGSP) 4.6~6.2 % 4.6~6.2 %

この検査で分かること

  • 糖尿病
  • 糖尿病予備群

糖尿病は動脈硬化や認知症リスクとも関連しています。

⑤ 脂質検査(動脈硬化検査)

項目 男性基準値 女性基準値
総コレステロール 150~219 mg/dL 150~219 mg/dL
LDLコレステロール 70~139 mg/dL 70~139 mg/dL
HDLコレステロール 40~80 mg/dL 40~90 mg/dL
中性脂肪(TG) 50~149 mg/dL 50~149 mg/dL

この検査で分かること

  • 動脈硬化
  • 心筋梗塞
  • 狭心症
  • 脳梗塞

健康寿命を延ばすために重要な検査です。

⑥ 尿酸検査 

項目 男性基準値 女性基準値
尿酸(UA) 3.6~7.0 mg/dL 2.6~6.0 mg/dL程度

この検査で分かること

  • 痛風
  • 尿路結石
  • 腎障害

高尿酸血症は動脈硬化との関連も指摘されています。

⑦ 電解質・ミネラル検査 

項目 男性基準値 女性基準値
ナトリウム(Na) 135~145 mEq/L 135~145 mEq/L
カリウム(K) 3.5~5.0 mEq/L 3.5~5.0 mEq/L
クロール(Cl) 98~108 mEq/L 98~108 mEq/L
カルシウム(Ca) 8.6~10.2 mg/dL 8.6~10.2 mg/dL
リン(IP) 2.5~4.5 mg/dL 2.5~4.5 mg/dL
マグネシウム(Mg) 1.7~2.6 mg/dL 1.7~2.6 mg/dL

この検査で分かること

  • 脱水
  • 栄養状態
  • 神経や筋肉の異常

⑧ 炎症反応 

項目 男性基準値 女性基準値
CRP 0.30 mg/dL以下 0.30 mg/dL以下

この検査で分かること

  • 感染症
  • 慢性炎症
  • 自己免疫疾患

⑨ 栄養状態・微量栄養素検査 

項目 男性基準値 女性基準値
総蛋白(TP) 6.5~8.2 g/dL 6.5~8.2 g/dL
アルブミン(Alb) 3.8~5.2 g/dL 3.8~5.2 g/dL
鉄(Fe) 60~210 μg/dL 50~170 μg/dL

この検査で分かること

  • 低栄養
  • 鉄欠乏
  • 慢性疲労
  • 集中力低下

鉄は脳内でセロトニンやドーパミンを作るためにも重要な栄養素です。

⑩ 男性ホルモン・前立腺検査 

項目 基準値
PSA(前立腺特異抗原) 4.0 ng/mL未満
遊離テストステロン 年齢別基準値下記に表示

遊離テストステロン(Free Testosterone:FT)は、男性更年期障害(LOH症候群)の診断でよく用いられる検査です。日本泌尿器科学会・日本Men's Health医学会では、年齢別の基準値が示されています。

遊離テストステロン基準値(男性)

年齢 基準値(pg/mL)
20~24歳 8.5~27.9
25~29歳 7.6~23.1
30~34歳 6.7~21.5
35~39歳 6.1~19.4
40~44歳 5.7~18.1
45~49歳 5.3~16.7
50~54歳 4.8~14.7
55~59歳 4.5~13.8
60~64歳 4.0~13.5
65~69歳 3.5~13.7
70~74歳 3.1~11.8
75~79歳 2.9~10.9

LOH症候群(男性更年期障害)の診断目安

遊離テストステロン値 評価
8.5 pg/mL未満 LOH症候群を疑う
11.8 pg/mL未満 若年成人平均値(YAM)の70%未満

現在、日本では

遊離テストステロン 8.5 pg/mL未満

が男性更年期障害(LOH症候群)の診断および男性ホルモン補充療法(TRT)検討の目安として広く用いられています。11.8 pg/mL未満ではAMSスコアーなど自覚症状を参考に男性ホルモン補充療法(TRT)検討を行います。 

この検査で分かること

  • 男性更年期障害(LOH症候群)
  • 前立腺肥大症
  • 前立腺がん

男性ホルモンは20歳代をピークに年齢とともに徐々に低下します。

低下すると、

  • 疲れやすい
  • やる気が出ない
  • 気分が落ち込む
  • 集中力が続かない
  • 性欲が低下する
  • 筋力が落ちる

などの症状が現れることがあります。

⑪女性ホルモン検査 

女性ホルモン検査は、月経周期や閉経の有無によって正常値が大きく変動します。そのため採血結果は「月経周期のどの時期か」を考慮して評価することが重要です。

女性ホルモンの主な正常値

項目 単位 卵胞期
(月経後~排卵前)
排卵期 黄体期
(排卵後)
閉経後
エストラジオール(E2) pg/mL 20~150 150~750 30~450 20未満~40
FSH(卵胞刺激ホルモン) mIU/mL 3~10 5~20 1~9 25~135
LH(黄体形成ホルモン) mIU/mL 2~12 15~80 1~14 15~65
プロゲステロン(P4) ng/mL 0.1~1.5 0.8~3.0 3~30 1未満

各ホルモンの役割

① エストラジオール(E2)

女性ホルモン(エストロゲン)の代表です。

  • 肌や髪の健康維持
  • 骨粗しょう症予防
  • 血管保護作用
  • 自律神経や気分の安定

閉経後は急激に低下し、更年期症状の原因となります。

② FSH(卵胞刺激ホルモン)

脳下垂体から分泌され、卵巣を刺激します。

  • 卵胞を育てる
  • 卵巣機能低下で上昇

目安

  • 10 mIU/mL未満:良好
  • 10~20:やや低下
  • 20以上:卵巣予備能低下を示唆
  • 40以上:閉経レベル

③ LH(黄体形成ホルモン)

排卵を起こすホルモンです。

  • 排卵直前に急上昇(LHサージ)
  • 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)で高値になりやすい

④ プロゲステロン(P4)

黄体ホルモンとも呼ばれます。

  • 妊娠維持
  • 子宮内膜を整える
  • 体温上昇作用

排卵後に増加します。

更年期障害の目安

項目 更年期・閉経を示唆する値
E2 20 pg/mL未満
FSH 40 mIU/mL以上
LH 20 mIU/mL以上

一般的にE2低値+FSH高値 の組み合わせで、更年期や閉経の確認を行います。

 

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