2026年6月、肥満症治療薬として知られるGLP-1受容体作動薬のウゴービ(セマグルチド)が、「MASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)」に対する国内初の治療薬として承認されました。
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MASHは、以前「NASH(非アルコール性脂肪肝炎)」と呼ばれていた病気で、肥満や糖尿病、脂質異常症などの代謝異常を背景に、肝臓に脂肪が蓄積し、炎症や線維化(肝臓が硬くなること)が進行する疾患です。
当院でも特に肥満症、睡眠時無呼吸症候群、糖尿病、脂質異常症などの患者さんに多く見られている疾患です。初期には自覚症状がほとんどありませんが、放置すると肝硬変や肝がんへ進展する可能性があります。NASH(非アルコール性脂肪肝炎)の治療の第一はまずⅰ減量(ダイエット)でした 次にⅱ食事療法 ⅲ運動療法ですが 基本のダイエットを自力で出来ず治療は難航していってました。
NASHはお酒を飲まない人の脂肪肝炎という否定形(Non-Alcoholic)で定義されていました。
※NASH→Non-Alcoholic Steatohepatitis (Non-Alcoholic:非アルコール性の・Steato-:脂肪の・hepat-:肝臓の・-itis:炎症)
MASHは代謝機能障害関連脂肪肝炎(「何ではないか(非アルコール)」ではなく「何が原因なのか」(代謝異常)」を示す名称としてMASHへ変更)
※MASH→Metabolic Dysfunction-Associated Steatohepatitis(Metabolic:代謝の・Dysfunction:機能障害・Associated:関連した・Steato-:脂肪の・hepat-:肝臓の・-itis:炎症)
今回の承認は、肝線維化ステージF2~F3のMASH患者を対象とした大規模臨床試験(ESSENCE試験)の結果に基づいています。72週後の評価では、セマグルチド投与群で肝線維化の改善やMASHの消失がプラセボ群と比較して有意に高く、脂肪肝そのものの病態改善が確認されました。
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これまでMASH治療の中心は、食事療法や運動療法による体重減少(ダイエット)でした。しかし実際には継続が難しく、十分な改善が得られない患者さんも少なくありませんでした。今回、薬物治療という新たな選択肢が加わったことは大きな前進といえます。
日本ではMASHの有病率は約3%と推定されており、肥満症や2型糖尿病を合併している方ではさらに頻度が高いと考えられています。脂肪肝は「沈黙の病気」とも呼ばれますが、早期発見と適切な介入が将来の肝硬変や肝がん予防につながります。
※長期観察研究では、MASH患者の約15~25%が10~20年の経過で肝硬変へ進展すると報告されています。(MASH(100人)100人のMASH患者さんがいた場合のイメージ)
↓
肝線維化進行(約20~40人)
↓
肝硬変(約10~20人)
↓
肝がん(約1~5人)
近年、肥満症、糖尿病、脂肪肝、睡眠時無呼吸症候群は別々の病気ではなく、「代謝性疾患」という共通の土台の上に存在することが分かってきました。
今回の承認は、体重管理だけでなく肝臓の健康まで含めた包括的な治療時代の幕開けといえるでしょう。気になる方は一度、健康診断結果や肝機能データを確認してみることをおすすめします。
※ MASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)の診断には(① 血液検査 ② 腹部超音波検査(エコー)③ 肝硬度測定(フィブロスキャン)④ FIB-4 Index ⑤ 肝生検(確定診断))が必要です
当院で①血液検査で疑わしい方でご希望の方には肝臓専門医へ紹介状を書いております。希望者は医師へ相談ください。
※一般名:セマグルチド(遺伝子組換え)商品名:ウゴービ
効能または効果:
◯肥満症
ただし、高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、以下に該当する場合に限る。
・BMIが27kg/m2以上であり、2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する
・BMIが35kg/m2以上
◯肝硬変を伴わない代謝機能障害関連脂肪肝炎
ただし、中等度又は高度の線維化を有する場合に限る。

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