双極症の維持療法について、新しいネットワークメタ解析が発表されました。
44件のランダム化比較試験(RCT)、約1万900人を対象に解析した大規模研究で、再発予防に有効な薬剤と、その効果が期待できる用量を比較した点が大きな特徴です。
今回の結果では
リチウム(リーマス)(800mg/日)
クエチアピン(セロクエル)(300~600mg/日)
アリピプラゾール(エビリファイ)(20~30mg/日)
ラモトリギン(ラミクタール)併用療法
バルプロ酸(デパケン)(血中濃度71~125μg/mL)
オランザピン(ジプレキサ)(20mg/日)
などが、プラセボよりも再発予防効果に優れていることが示されました。また
アリピプラゾール持続性注射製剤(エビリファイ持続性水懸筋注用)(400mg/4週間)や
リスペリドン持続性注射製剤(リスパダールコンスタ筋注用)(25mg/2週間)も有効性が確認されており、服薬継続が難しい患者さんにとって有力な選択肢となります。
双極症は、躁状態とうつ状態を繰り返す慢性疾患であり、症状が落ち着いた後も「維持療法」を継続することが再発予防の鍵となります。再発を繰り返すほど社会生活や仕事への影響が大きくなり、認知機能の低下や生活の質(QOL)の低下につながることも知られています。そのため、「症状がなくなったから治療終了」ではなく、「再発しないための治療」を続けることが非常に重要です。
今回の研究は、これまで各国の治療ガイドラインで第一選択とされてきたリチウムやクエチアピン、アリピプラゾールなどの有効性を改めて裏付ける結果となりました。
また、薬剤ごとの「適切な用量」にも踏み込んで評価しており、今後の個別化医療にも役立つ内容といえます。
双極症の維持療法では、「どの薬を選ぶか」だけでなく
「どの用量で継続するか」「副作用と効果のバランスをどう取るか」が重要です。
当院でも、患者さん一人ひとりの症状や生活スタイル、ご希望を大切にしながら、再発予防を目標とした長期的な治療を心掛けています。継続的な診察と適切な薬物療法によって、安定した日常生活を長く維持できるよう、一緒に取り組んでいきたいと考えています。
参考文献:双極性障害の維持療法における薬物療法の有効性と安全性:異なる年齢層を対象とした系統的レビューと用量関連ネットワークメタ分析。

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