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安定薬や睡眠薬は"出口"を考えて始める時代へ

不眠や不安に対する薬物療法では、現在はモノアミン強化療法(SSRI・SNRI・NaSSA・S-RIMなどが治療の中心と考えられています。これらの薬剤は依存性がないお薬で、脳内のセロトニンやノルアドレナリンなどの働きを整え、不安そのものやストレス耐性を改善する「根本的な治療」を目指す薬です。
一方、ベンゾジアゼピン系睡眠薬・抗不安薬は、即効性があり、不眠や強い不安を速やかに和らげるという大きなメリットがあります。そのため、治療開始時や症状が強い時期には非常に有用なお薬です。しかし、長期間使用すると依存や転倒、認知機能低下、交通事故、さらには死亡率の上昇との関連も報告されており、「必要最小限の期間で使用する」ことが世界的な考え方となっています。

2026年に発表されたカナダの約182万人を対象とした大規模研究では、ベンゾジアゼピン系睡眠薬・抗不安薬の「最初の処方の仕方」が、その後の長期使用に大きく影響することが明らかになりました。

ベンゾジアゼピン系睡眠薬・抗不安薬の長期使用を防ぐためのポイントは3つあります。

① 最初の処方期間を短くすること
初回処方が7日以内だった患者さんは、その後に薬を中止できる割合が最も高く、15~30日、30日を超える処方になるほど長期使用につながりやすいことが示されました。

② できるだけ単剤で処方すること
複数のベンゾジアゼピン系薬剤を同時に開始した患者さんは、1剤のみで開始した患者さんよりも中止しにくい傾向が認められました。

③ 短時間作用型を選択すること
長時間作用型の薬剤は体内に長く残るため、短時間作用型のみを使用した場合と比べて長期使用へ移行しやすいことが示されました。

もちろん、不安障害やパニック障害、てんかんなどではベンゾジアゼピン系薬剤が必要な場面もあります。しかし、不眠症や一時的なストレスに対しては、漫然と続けるのではなく、睡眠衛生指導や認知行動療法(CBT-I)、必要に応じてオレキシン受容体拮抗薬やメラトニン受容体作動薬、抗うつ薬なども組み合わせながら、安全に減量・中止を目指すことが重要です。

アイさくらクリニックでは、「薬を出して終わり」ではなく、最初から出口を見据えた処方を心がけています。患者さん一人ひとりに合わせた治療計画を立て、必要最小限のお薬で安心して治療を続けられるようサポートしています。

参考文献:ベンゾジアゼピン系薬剤の初期処方パターンとベンゾジアゼピン系薬剤の中止までの時間との関連性:集団ベースの後向きコホート研究。

 

 

 

 

 

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