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メンタルヘルスに効果期待されるその他のお薬(サプリメントやビタミン、ミネラル)

EPA・DHA、ビタミンD、亜鉛、マグネシウムなどのサプリメントは、脳や神経の働きを支える大切な栄養素です。
ⅰ抗うつ薬や抗不安薬、抗精神病薬、睡眠薬が神経伝達物質に直接作用して症状を改善するのに対し
ⅱサプリメントは脳の材料やエネルギー源を補い、心身が本来の力を発揮しやすい環境を整えます。精神疾患の治療薬の代わりにはなりませんが、栄養不足の改善や再発予防、治療効果のサポートとして積極的に活用する価値があります。
医師が自ら服用したり推奨している(エビデンスが多い)サプリを紹介します。

① EPA・DHA(オメガ3脂肪酸)「脳の細胞膜を作る良質な油」

EPA・DHA(オメガ3脂肪酸)は、青魚(イワシ、サバ、サンマ、マグロなど)に多く含まれる必須脂肪酸で、脳や神経細胞の重要な構成成分です。EPAには炎症を抑える作用があり、DHAには脳機能や認知機能を維持する働きがあります。近年では、うつ病や不安症の補助療法としても注目されており、特にEPAを多く含む製剤で抑うつ症状の改善が報告されています。
魚を食べる機会が少ない方では、サプリメントによる補充も選択肢となります。

② 鉄「脳と体に酸素を運び」&「セロトニンの合成を助ける」ミネラル

赤血球のヘモグロビンを構成し、全身や脳へ酸素を運ぶために欠かせない必須ミネラルです。
また、脳ではドパミンやセロトニンを作るためにも必要です。鉄不足になると貧血だけでなく、疲労感、集中力低下、意欲低下、抑うつ気分、ブレインフォグなどの原因となることがあります。特に月経のある女性では不足しやすく、フェリチン(貯蔵鉄)が低下している場合はメンタル不調の一因となることもあります。レバーや赤身肉、魚介類などが良い供給源です。

③ 亜鉛→「脳の修復と再生を助けるミネラル」

亜鉛は体内に約2gしか存在しませんが、300種類以上の酵素の働きに関わる重要な必須ミネラルです。脳では神経伝達物質の調節神経細胞の修復BDNF(脳由来神経栄養因子)の産生に関与し、心の健康を支える役割を担っています。亜鉛不足は抑うつ気分、意欲低下、集中力低下、食欲不振、味覚障害などの原因となることがあります。牡蠣や赤身肉、レバーなどに多く含まれ、うつ病治療の補助としても注目されている栄養素です。

④ ビタミンD→「脳と免疫を支える太陽のビタミン」

ビタミンD「太陽のビタミン」とも呼ばれ、日光を浴びることで皮膚でも作られる脂溶性ビタミンです。骨の健康に欠かせない栄養素として知られていますが、近年は脳機能や免疫機能との関係も注目されています。ビタミンD不足は抑うつ気分や疲労感、不眠などと関連することが報告されており、欠乏している人では補充によって気分の改善が期待できます。
魚類やきのこ類に多く含まれ、日照不足になりやすい現代人では不足しやすい栄養素の一つです。骨のビタミンとして有名ですが、実は脳にもビタミンD受容体が存在します。

  • サバ
  • イワシ
  • 卵黄
  • きのこ類
⑤ マグネシウム→「天然の抗ストレスミネラル」

マグネシウムは体内で300種類以上の酵素反応に関わる必須ミネラルで、神経や筋肉の正常な働きを支えています。脳内では神経の興奮を抑えるGABAの働きを助け、ストレス反応や睡眠の質にも関与します。マグネシウム不足は、不安感、イライラ、不眠、疲労感、筋肉のけいれんなどと関連することがあります。海藻類、ナッツ類、大豆製品、玄米などに多く含まれ、近年はメンタルヘルスやストレス対策を支える栄養素として注目されています。神経や筋肉の興奮を抑える働きがあります。

  • 海藻
  • ナッツ
  • 大豆
  • 玄米
  • ほうれん草
⑥ ビタミンB群(複数のビタミンの総称です)→「脳の栄養代謝を支えるビタミン群」

ビタミンB群は、ビタミンB1、B2、B6、B12、葉酸、ナイアシンなどの総称で、脳や神経の働きを支える重要な水溶性ビタミンです。食べ物をエネルギーに変換するだけでなく、セロトニンやドパミンなどの神経伝達物質の合成にも関与しています。不足すると疲労感、集中力低下、イライラ、抑うつ気分などが現れることがあります。豚肉、魚、卵、大豆製品、緑黄色野菜などに多く含まれ、ストレスの多い現代人にとって積極的に摂取したい栄養素です。

  • 豚肉
  • レバー
  • 大豆
⑦ L-テアニン→「お茶由来のリラックスアミノ酸」

L-テアニン緑茶や玉露、抹茶に含まれるアミノ酸の一種で、リラックス効果をもたらす成分として知られています。脳内でα波を増加させ、心身を落ち着かせながらも集中力を保つ働きが期待されています。研究では、ストレスの軽減や不安感の緩和、睡眠の質の改善に役立つ可能性が報告されています。カフェインによる興奮作用を和らげる効果もあり、日常のストレス対策やメンタルヘルスの維持をサポートする成分として注目されています。脳内でα波を増やしリラックス状態を促します。

  • 緑茶
  • 玉露
  • 抹茶
⑧ GABA(ギャバ)→「脳のブレーキ役となる神経伝達物質」

GABA ギャバγ-アミノ酪酸(Gamma Aminobutyric Acid)は、脳内に存在する代表的な抑制性神経伝達物質で、神経の過剰な興奮を抑える働きを担っています。不安や緊張、ストレスを和らげ、心身をリラックスさせる作用が期待されています。近年の研究では、GABA摂取によるストレス軽減や睡眠の質の改善が報告されています。発芽玄米や発酵食品などにも含まれていますが、サプリメントとして利用されることも多く、ストレス社会におけるメンタルヘルス維持の補助成分として注目されています。神経の興奮を抑える働きがあります。

  • 発芽玄米
  • トマト
  • キムチ
  • 発酵食品
⑨ クレアチン→「脳と筋肉のエネルギー補給物質」

クレアチン体内でアミノ酸(アルギニン、グリシン、メチオニン)から作られる天然の物質で、主に筋肉と脳に蓄えられています。細胞のエネルギー源であるATPの再生を助ける働きがあり、「脳と筋肉のエネルギー補給物質」とも呼ばれます。近年はスポーツ分野だけでなく、うつ病や疲労感、認知機能低下に対する研究も進んでおり、脳のエネルギー代謝を改善することでメンタルヘルスを支える可能性が注目されています。牛肉や魚に多く含まれますが、サプリメントとしても広く利用されています。筋肉だけでなく脳にも多く存在し、ATP(エネルギー)産生を助けます。

  • 牛肉
  • 豚肉
  • マグロ
  • カツオ
    ※クレアチンとクレアチニン
    クレアチン筋肉や脳に存在するエネルギー代謝に重要な物質で、ATP(細胞のエネルギー)の再生を助けます。一方、クレアチニンクレアチンが使われた後に生じる老廃物で、腎臓から尿中へ排泄されます。血液中のクレアチニン値は腎機能を評価する代表的な指標として用いられます。名前は似ていますが、クレアチンは「エネルギーを作る物質」、クレアチニンは「その代謝で生じる老廃物」という全く異なる役割を持っています。
メンタルヘルスとの関係をひと言でまとめると
成分 ひと言
EPA・DHA 脳の細胞膜を作る油
ビタミンD 太陽のビタミン
亜鉛 脳の修復ミネラル
マグネシウム 天然の抗ストレス剤
脳のガソリン
ビタミンB群 神経伝達物質の材料
L-テアニン リラックスアミノ酸
GABA 脳のブレーキ
クレアチン 脳のエネルギー源
 まとめ:サプリメントは『脳の材料』
向精神薬や睡眠薬は『脳の働きを直接調整する治療薬』です。

 そのため精神科診療では、まず病気を治療する薬物療法を行いながら、適宜栄養状態(EPA、亜鉛、鉄、ビタミンD、など)の確認と調整を行いながら、より良い治療効果を目指します。 

サプリメントと向精神薬・睡眠薬の違い

  向精神薬・睡眠薬 サプリメント
目的 脳の働きを直接変える 脳の材料を補う
効果発現 数時間~数週間 数週間~数か月
効果の強さ 強い 穏やか
保険適応 あり なし(一部にあり)
医学的エビデンス 多数の臨床試験
限定的
病気を治療するか 治療目的 基本的に補助
医師の処方 必要 不要

 

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