私たちの心の健康を維持するためには、実は「鉄」がとても重要な役割を果たしています。
鉄というと「貧血予防に必要な栄養素」というイメージがありますが、
鉄は脳の働きや精神状態を安定させるためにも欠かせないミネラルです。
脳の中では、セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質が働いています。
セロトニン:気分や感情の安定、睡眠に関係する
ドーパミン:意欲、やる気、喜び、集中力に関係する
ノルアドレナリン:注意力、覚醒、ストレスへの反応、疼痛などに関係する
鉄は、これらの神経伝達物質の合成や代謝に関わる酵素の働きを支えています。
そのため、鉄不足は脳の働きに影響し、気分や意欲、集中力の低下につながる可能性があります。
①トリプトファン(必須アミノ酸)食事から摂取(肉・魚・卵・大豆製品などに含まれる)
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トリプトファン水酸化酵素(TPH)(トリプトファンを5-HTに変える酵素)
鉄(Fe²⁺)+ BH4(補酵素)+ 酸素
(その最初の段階では、トリプトファン水酸化酵素(TPH)という酵素が働きます。この酵素が正常に働くためには、鉄が欠かせません)さらに、BH4という反応を助ける物質と酸素が協力することで、トリプトファンが5-HTPに変化します。
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②5-HTP(5-ヒドロキシトリプトファン)
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③セロトニン(5-HT)
気分・睡眠・感情などの調節に関与
セロトニンを作るためには、原料のトリプトファンだけでなく、鉄とビタミンB6などが必要です。
鉄が不足すると、次のような症状が現れることがあります。
疲れやすい、身体がだるい
やる気が出ない、意欲が低下する
集中力や記憶力が低下する
イライラしやすい、気分が不安定になる
気分が落ち込む
睡眠の質が低下することがある
特に月経のある女性、妊娠・出産後の女性、偏った食生活をしている方などは、鉄不足に注意が必要です。
重要なのは血液検査でヘモグロビンが正常でも、体内の鉄が不足している場合があるということです。
これを「貧血を伴わない鉄欠乏」(隠れ貧血)といいます。
体内に蓄えられている鉄の状態を知るには、ヘモグロビンだけでなく、
貯蔵鉄の指標である「フェリチン」などを調べることが役立ちます。
参考ホームページ:鉄欠乏性貧血(隠れ貧血の視点から)
鉄を多く含む食品には、赤身肉、レバー、カツオ、マグロ、アサリ、大豆製品、小松菜などがあります。
また、ビタミンCを含む野菜や果物と一緒に摂ることで、植物性食品に含まれる鉄の吸収を高めることができます。
ただし、鉄は多く摂ればよいというものではありません。鉄剤やサプリメントは、血液検査で不足を確認したうえで適切に使用することが大切です。
アイさくらクリニックでは、うつ病や不安症状、慢性的な疲労感などを診療する際、心の問題だけでなく身体の状態や栄養状態にも目を向けています。
心の健康を支えるには、神経伝達物質が正常に働くための栄養環境を整えることも大切です。
気分の落ち込みや意欲低下が続く場合、鉄不足が関係している可能性もあります。
もちろん、うつ病の原因がすべて鉄不足というわけではありません。しかし、鉄不足が認められる場合には、その改善が疲労感や一部の精神症状の軽減につながる可能性があります。
心と身体の両面から健康を考え、必要に応じて血液検査で鉄やフェリチンを確認することをお勧めします。
参考ホームページ:鉄欠乏性貧血(隠れ貧血の視点から)

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